「『雪国では(シーズンを移行することで)スタジアム等が整備されるだろう』という期待を前提とした意向を、経営リスクとしてとらえるクラブ経営者が多かった(Jリーグ・村井チェアマン)」
「『雪国では(シーズンを移行することで)スタジアム等が整備されるだろう』という期待を前提とした意向を、経営リスクとしてとらえるクラブ経営者が多かった(Jリーグ・村井チェアマン)」~12月のリーグの理事会より(6)~(『Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~』)
12月12日、JFAハウスにて12月のリーグの理事会が行われた。理事会後に記者会見が行われ、Jリーグ村井満チェアマンから決議事項・報告事項が発表された。
今回は理事会後の会見でのコメントをお届けしています。
○村井満Jリーグチェアマン
4.シーズン末に決勝が集中することは世界基準で、違和感はない。
シーズン末に今、11月はルヴァン決勝が入り、リーグ戦の優勝争いがあり、天皇杯の準決勝や決勝、ACL決勝が集中していることが、選手を疲弊感を生んでいるという意見もありますが、一方で世界のサッカーシーンを見れば、一つのシーズンでぐっと集中して終わって、一斉に休みに入るというスケジュールになっています。
現在は天皇杯準決勝に残っている4チームだけが、Jリーグアウォーズが終わってもトレーニングをしていて、1月1日までその状態が続いています。実は1月末にACLのプレーオフが待っていて、天皇杯の日程がそこにあるがために、特定のクラブが苦労する、そういう声も上がっています。スケジュールと合わせて、天皇杯のことも併せて提言しています。ただ一斉に終わるのが世界のスタンダードなので、(シーズン末に決勝が集中する)そこが何も問題ではないかと認識しています。
5.「雪国では(シーズンを移行することで)スタジアム等が整備されるだろう」という期待を前提とした意向を、経営リスクとしてとらえるクラブ経営者が多い
雪国にしっかり観戦に耐えうる施設をシーズンを変えれば行政が動くだろうという憶測のもとでシーズンを移行しても、地域にとっての優先プライオリティはサッカーだけではなくて、公共交通機関をどうするのかとか、まちづくりをどうするのかというサッカー以外の投資項目も多々ある中、シーズンを移行することで一気に整備が進むと楽観するのは、経営リスクと捉えるクラブ経営者が多くいらっしゃいました。
6.移行期の0.5年または1.5年での収益確保は、Jリーグ54クラブそれぞれの課題で、難易度が高い。
シーズンの半分くらいで優勝を決める大会をJ1、J2、J3すべてで大会が設計できるか、そこにコンペティションとしての重さを感じられて、ファン・サポーターに納得いただけるだけの大会を企画できるかをずいぶん議論しました。1.5年でも、1年でも相当難易度が高く、逆にスポンサーに対する相当の負担を強いることになると考えました。
7.現シーズンは、学校年度と、完全ではないがほぼ揃っている。移行して半年ずれてしまうマイナスは大きい。
また現行シーズンは2月末~3月開幕と、ほぼ学校年度と一致していますが、シーズンを移行して 6月~7月に開幕した場合、指導者の交流などで支障をきたす可能性があるという声もありました。
8.企業との期ずれも、企業側でヒアリングしたところ、修正は難しいとの見方が多い。
8番目、企業の決算期、だいたい3月4月が多くて、そのタイミングで昇格降格等々があってスポンサーへの報告会があるなど、一つの年度のサイクルの風物詩となっています。企業側から言うと、決算期のカテゴリーの変更があることが説明の難易度が非常に高いという説明もありました。
9.移行カレンダーの1、2月に計4試合予定されているルヴァンカップは、検証したところ、他の期日にプロットできない。Jリーグはルヴァンカップを、全国のホームタウンで通年開催したいと考えている。従って、移行カレンダーではルヴァンカップが成立しておらず、Jリーグの考えでは、カレンダー自体が成立していない。
9番目、移行カレンダーの1、2月に計4試合設定されているルヴァンカップは、検証したところ、他の期日に入れることができないので1月2月に置かれています。私が先ほど説明したように、リーグ戦とカップ戦がJリーグの両輪です。サポーターと共にホームの試合を大切にしながら戦っていくことを大前提に考えた時に、カレンダー自体が成立していないという認識を持ちました。
(7)へ続く
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