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【Jリーグ】金曜日の試合開催について「多くても1クラブ1~2試合を目安に、現実的にできる範囲の中から進めたらどうかという議論をしています(Jリーグ・村井チェアマン)」

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金曜日の試合開催について「多くても1クラブ1~2試合を目安に、現実的にできる範囲の中から進めたらどうかという議論をしています(Jリーグ・村井チェアマン)」~12月のリーグの理事会より(8)~『Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~』

12月12日、JFAハウスにて12月のリーグの理事会が行われた。理事会後に記者会見が行われ、Jリーグ村井満チェアマンから決議事項・報告事項が発表された。

今回は理事会後の会見でのコメントをお届けしています。

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金曜日の試合開催について「多くても1クラブ1~2試合を目安に、現実的にできる範囲の中から進めたらどうかという議論をしています

○村井満Jリーグチェアマン
もう一つ報告がございます。いわゆる来シーズンにおける金曜日にJリーグをやるかどうかという話です。今ヨーロッパの5大リーグではほぼ金曜日や月曜日とか週末以外のウィークデーにもレギュラーシーズンを組んでいます。ある意味でJリーグはすごく熱心なサポーターに支えられてこの25年をやってきた思いがあるんですが、例えば『週末はサッカーにあまり使いたくない』『家族や友人、恋人と過ごすことに週末を使いたい。自分にとって大事なことに使いたい』という価値観の方も相当数がいると認識しています。逆に『平日があるんだったらそれも一つにチャンス』と考える方もいる。一方で週末のためにすべてをかけて一緒に戦ってくれる方もいます。ファン層には様々な方がいて、ヨーロッパのケースを見ていると確かに『週末は家族と』もしくは『週末は子どもたちとサッカーを一緒にやりたいので、見るんだったら土日は意外と練習が入っているので平日』というセグメントの方々もあります。

金曜日にやることによって、土日の試合のプレ案内というか、事前告知のような役割を果たしますし、7日間のうち日曜日の結果報道も含めれば7日分の4日をサッカーに触れることができますので、サッカー発展のために大きな要素であると議論をしていました。
ただ現実問題として、日本の労働環境やスタジアムの立地を考えると、平日に簡単に行けるものではない中で、強制的に全部それを義務付けるのは困難です。実際にカレンダーを丁寧に見てみますと、34節の中で金曜日に入れられるのは10節程度です。それはルヴァンカップやワールドカップの影響でリーグ戦がそもそも水曜日に開催されることもあり、入れられない時も多くあるからです。

そのため、金曜日に試合が開催できるのは10節程度あることがわかっています。ただし、特定のクラブの金曜日開催が集中し不公平にならないように、目安としては1クラブが多くても1~2試合程度。ACLに参戦するクラブは金曜日開催をしてますので、それを含めて10節、11節の中ですと、全部のクラブはできません。多くても1クラブ1~2試合を目安に、現実的にできる範囲の中から進めたらどうかという議論を今しております。詳細はまだ全く決まっておりませんが、Jリーグとしてはある程度ファン・サポーターのすそ野や構造を変えていくことに、多少の犠牲を払ってでもチャレンジをしていこうということは、クラブの経営者の皆さんと少しずつ合意ができつつあるところです。

※司会より補足。「詳細日程につきましては調整中です。決まりましたら改めてご報告させていただきます」

~質疑応答~

Q:シーズン移行したほうがプラスになるという議案は見つからなかったのかどうかということ。それから今シーズンもあったように、ACLの影響による終盤の2~3節の試合日程がずれてしまう問題を解決する手立てが無いのかどうか。どう解決していこうか教えてください。
「全くメリットがなかったわけではなくて、たぶん裏表の議論が多くあったと思います。例えば7月の暑熱対策、7月の試合数が少し少なくなることによって試合のクオリティが上がるメリットもおそらくあるのだろうと思います。でもその裏側には逆に12月や2月にしわ寄せが来るとかリーグカップが入らないという問題が出てきたります。メリットの裏側にデメリットも存在するので、まったくなかったわけではありません。原さん、何かありますか?」

○原副理事長
「一番のメリットはインターナショナルマッチウィークがヨーロッパと合っていれば、ヨーロッパが中心に動いているので、代表強化にとってはシンプルに分かりやすい点はあると思います。
ただ代表期間はある程度決まっていますので、それ以上増やすことはできません。特に1月に空いた時に代表強化に使いたいという話も出てきたのですが、世界基準で言うと逆に難しいです。アンダーカテゴリーであれば特に難しいと思います。今ご存知のように、日本サッカー協会とJリーグでしっかり話して、シーズン前にクラブで身体をしっかり作ることをアンダーカテゴリーやオリンピック代表も含めて話をしていますが、その点で言うとクラブでしっかり体を作る時期が短くなってしまうと思っています」

※詳細⇒12月のリーグの理事会より(3)「代表選手の休養問題とか、チームの立ち上げの準備期間等の問題がありました(Jリーグ・村井チェアマン)」

○村井チェアマン
「確か今シーズンだと、浦和vs川崎Fを終盤の平日(11/26)に開催しました。ACL決勝日程との調整で行ったわけですがリーグ戦全体の優勝争いに関わるのかというのが質問の主旨かと思います。まずシーズンを変えてもACLのグループステージの最終節やラウンド16が4~5月に集中することを考えれば、現実問題として日程を逃がす場もないという状況です。今現行のシーズンでコンペティションに対する対応策は、なかなか現実的には見つかっていません」

※フットボール本部黒田氏より補足
「まず、我々も非常に悩ましいのは11月の2週末にACLが入っていることです。そもそも大きな問題に感じている中で、決勝に行くチームのやりくりという中では、現状これが精一杯です。我々としても手立てを考えていますが、一旦この日程を作った時には、全クラブでACLを獲りに行こうということで、決勝の部分については日程をずらし、全クラブが協力してACLを獲りに行こうという意思決定をした経緯があります」

(9)へ続く

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