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【★無料公開】来季町田加入内定のMF土居柊太が所属する明治大、関西大に惜敗。インカレ初戦で姿を消す【マッチレビュー(監督・選手コメント付)】

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【★無料公開】来季町田加入内定のMF土居柊太が所属する明治大、関西大に惜敗。インカレ初戦で姿を消す【マッチレビュー(監督・選手コメント付)】町田日和

■第66回全日本大学サッカー選手権大会・2回戦
12月16日(土)13:30キックオフ
浦安市運動公園陸上競技場/742人
関西大学 1-0 明治大学FC町田ゼルビア
【得点者】関西大/38分 加賀山泰毅(PK)

▼明治大、後半の猛攻も及ばず……

冬の大学日本一を決める全日本大学サッカー選手権大会(通称:インカレ)の2回戦が12月16日(土)、各地で開催された。来季のFC町田ゼルビア加入が内定しているMF土居柊太を擁する明治大学は、関西大学と浦安市運動公園陸上競技場で対戦。注目の土居は負傷でメンバーから外れたが、卒業後のアビスパ福岡入りが内定しているFW木戸皓貴らが先発出場を果たし、彼を中心とした攻撃陣が試合開始から相手の背後を突く形で関西大ゴールに迫った。

しかし、先手を奪ったのは関西大だった。迎えた38分。左サイドからのクロスボールがDF山崎浩介の手に当たったと主審・竹長泰彦氏が判定し、主審はPKスポットを指差した。そしてこのPKをFW加賀山泰毅が冷静に左サイドへ沈めて、関西大が貴重な先制点を奪った。

1点を追う明治大は後半のスタートから攻撃のギアを上げ、後半は”ハーフコートゲーム”の様相を呈していく。後半途中には「ずっと練習してきた」(栗田大輔監督)という[3-4-3]にシステムを変えて明治大が猛攻をしかけた。

72分にはFK崩れの展開から途中出場のDF中村帆高が際どいシュートを放ったものの、ゴールならず。なんとしても追い付きたい明治大はロングボールを多用し、パワープレーで相手ゴールに迫る中、エースの木戸はシュートゼロ本に封じられてしまう。結局、試合は明治大の猛攻も及ばず、無情にも0-1のスコアで試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

「選手たちが我慢強く戦ってくれた」。試合後、そう言って選手たちの奮闘に労いの言葉を掛けたのは、かつてガンバ大阪でJ1リーグ通算1万ゴール目となる”メモリアルゴール”を決めた関西大の前田雅文監督。一方の明治大・栗田監督は「攻めていても点を取り切れないことが今季のチームの課題」と話し、試合会場を後にした。

Photo&Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)

■前田 雅文監督(関西大学)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「お互いに背後を突いて、前からプレスを掛け合うチーム同士の対戦でしたが、我慢強く選手たちは戦ってくれました。ウチは背後とバイタルエリアを使うことを使い分ける狙いを持っていましたが、相手のプレッシングが早いのでどうしても背後を突く形が多くなりました。前半はボールホルダーと受け手の呼吸が合えば、もう少しチャンスになりましたが、明治のプレッシャーに遭ってなかなか思うようにはいきませんでした」

ーーとはいえ、最悪相手にボールが渡ったとしても、守備への切り替えが速くアプローチできていたと思います。
「前線の選手がしっかりと前からプレッシャーをかけて、相手が蹴らざるを得ないボールを拾っていくという狙いも持ってはいました」

ーー守備陣は粘り強い対応ができていたと思います。
「高さではね返すことは、ウチのストロングポイントの一つです。大学でプレーしている選手たちなので、あれもこれもできる選手はそろっていません。ストロングポイントもウィークポイントもある中で、ストロングポイントが発揮されるような展開にはなったと思います」

ーー1-0で後半は押し込まれる時間帯が長かったですが、どのタイミングのあたりから1-0で守り切ろうと舵を切りましたか?
「明治さんがシステムを[3-4-3]に変えてからは特に後ろから長いボールを入れてくる形になりました。そのあたりから守るしかない形になりましたから、後ろに人数をかけて、隙を見てカウンターで1点を狙うような展開がより強調されたと思います」

ーー最終的には1-0で守り切れましたが、守備の耐久力という点ではどう評価しますか?
「ウチは2点も3点も取れないチームですから、守備では無失点に抑えようという話はしています。それは意識の問題ですが、それによって守備は上がる部分があるので、みんなで協力しながら守ろうという意識付けはしています」

ーー先制点を取れたことで試合展開的には楽になれたでしょうか?
「バイタルエリアでパスをつなぐ形や相手の最終ラインとウチの攻撃陣が駆け引きをするような展開を作れていたことで楽になれた部分もあったと思います」

ーー中1日の準備期間しかありませんが、次のゲームに向けて強調しておきたいことは?
「かなり明治さんに消耗させられましたので、休息をしっかりと取って、代わりのメンバーもたくさんいます。そういったメンバーが活躍できれば、残り3試合も勝てる展開に持ち込めます。チーム全員で戦い抜ければ、優勝のチャンスも出てくると思います」

ーーやはり大会の最終的な目標は優勝ですか。
「そうですね。チームの目標は優勝です」

■栗田 大輔監督(明治大学)
関西大さんが体を張って守り切ったゲームだった
「後半の[3-4-3]の形は追いかける展開の中、ずっと練習でも取り組んできたことでした。ただ、関西大学さんも最後の一線を割らせないようにと、体を張って守っていました。1点を取れずに悔しい結果となりました。相手守備陣を崩し切れなかったことが今季のウチのチームを象徴しているかのような結果でした。リーグ戦も4位ですし、攻めていても点を取り切れないことが今季のチームの課題でした。それが今日の結果にも表れてしまいました。

関西大学さんとは明関定期戦をやっていますし、お互いに気持ちの入ったゲームでした。関西大さんが体を張って守り切ったゲームになりました。こういう経験をどう受け止めて、4年生はプロの世界に行く者も、今日で終わる者もいます。下級生は今年足りなかったことに向き合って、来年に向けて改善していきたいと思います」

■FW 10 木戸 皓貴(明治大学/アビスパ福岡内定)
チームを勝たせられるような選手になりたい
「1試合の中で悪い時間帯は必ずあるので、自分のような4年生が中心となって、いかにボールをうまく回して、良いポジション取りをすることで状況を変えようとしていました。難しいゲームになることは分かっていたので、1-0でもなんでも勝ちたかったのですが、相手にやりたい形を作られてしまいました。バイタルエリアに相手に侵入されないようにするなど、そういった厳しさを出す必要がありますし、今日のようにワンチャンスで決められることもあるので、そういったことがないようにもっとトレーニングから突き詰めないといけません。

今季を振り返ると、昨年に二冠を獲って、キャプテンに就任して厳しい状況に身を置いて新シーズンに入りました。結果は出ませんでしたが、最後にその悔しさをインカレにぶつけようと大会に入りました。今季、結果を残せていなかったことへの悔しさは一番明治大学が強いと思っていました。一戦一戦戦おうとトレーニングしてきましたが、優勝した次の年が難しいことを後輩も経験できたことは今後にとって大きなことです。上級生として、せめて決勝の舞台に立たせてあげたかったのですが、自分を含めて力不足もあり、チームを引っ張ることができませんでした。

4年間はあっという間でけがもあったので、ツラいことばかりでした。大学生活の最後は笑って終わりたかったのですが、まだまだ自分自身は強くなれると思います。こういう経験ができるだろうと、僕は大学に入ったので、次のJリーグでのステージに生かしていきたいです。もっともっと成長して、チームを勝たせられるような選手になりたいと今日は強く感じました。

自分のマークが厳しくなることは分かっていたので、自分のプレーでチームをもっと楽にさせてあげたかったです。体を張って、ルーズボールも味方につなげたり、割り切って戦おうと思っていましたが、もっと強引にゴール前に持っていくプレーなど、ゴールに向かうプレーを増やしたかったです。それが悔いとして残っています。終盤は空中戦が多くなったことは仕方がなかったです。

プロの世界は個人の力次第です。個の力を出したもん勝ちだと思っていますし、自分のポジションは数字が物を言うポジションです。ゴール前での仕事をして、ゴールを取らないと評価されない世界です。当たりの強さも求められるので、フィジカルの強さが必要であることをもう一度見つめ直して、謙虚に取り組んでいきたいです。

(アビスパのタオルマフラーをしているサポーターもいました)僕はまだ明治大の選手で、明治に入っていなければ、アビスパにも入れていません。そういう思いがあるので、結果という形で大学に恩を返したかったです。次のステージで恩返しをしたいと思います。アビスパサポーターの方には期待してほしいですし、もっと強くなった自分を見せたいと思います」

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