ハイブリッド芝について「ピッチの稼働を増やすことができる、これが非常に大きなポイント(Jリーグ・佐藤氏)」~2017年のスタジアム動向より~
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今回は「Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~」からの記事になります。
ハイブリッド芝について「ピッチの稼働を増やすことができる、これが非常に大きなポイント(Jリーグ・佐藤氏)」~2017年のスタジアム動向より~(4)(Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~)
2017年09月15日更新
一昨年オープンした吹田スタジアムや今年オープンしたミクニワールドスタジアム北九州、最近では今年7月にヴァンフォーレ甲府の新スタジアム建設地が決定し(※)、今月10日にはFC今治が使用する「ありがとうサービス. 夢スタジアム」がオープンするなど、現在日本各地でスタジアム建設をめぐる動きが活発となっている。
そこで今回は、今年2月に行われたJリーグキックオフカンファレンス第3部での、Jリーグ経営管理本部・クラブ経営戦略部スタジアム推進グループ・佐藤仁司マネージャーの話を振り返りながら、2017年のスタジアム動向について掘り下げていきたい。
(3)今年から設計がスタートする京都のスタジアムについて「試合終了から30分後には渡月橋の上にいられるという立地(Jリーグ・佐藤氏)」
○佐藤仁司マネージャー
その次にご紹介するのは、スタジアムという『箱』ではなくて『ピッチ』の動きについてご案内します。
Jリーグは今年の規約改正で、2016年までは『ピッチは天然芝であり』と書いてありましたが、2017年から『ピッチは天然芝もしくはJリーグが認めたハイブリッド芝』これを公式試合のグラウンドとして認めることになりました。ミソは『Jリーグが認めた』という枕詞が付いている点です。丁寧にご説明させていただきます。
そもそもハイブリッド芝というのは何と何をハイブリッドしたものかというと、3%の人工芝繊維と97%の天然芝との混合芝です。状態のよい天然芝を人工芝繊維で補強するものです。地面の中の人工芝繊維に天然芝の根っこが絡みつくんですね。ですので天然芝の補強材の役割を果たします。これによって透水性が上がって根底が深層まで伸びまして天然芝の回復にも大きく効果が期待できます。ピッチの稼働を増やすことができる、これが非常に大きなポイントではないかなと思います。
元々は、オランダのいわゆるカーペットメーカーが開発したもので、今ではもう人工芝繊維の植え付ける植毛型-カツラの話ではないんですが―人工芝をマットのように敷いて、その上から天然芝を巻くというようないろいろなタイプが出てきています。環境に応じたいろいろな方法がありますが、海外では2010年ロンドンのウェンブリースタジアムをはじめ南アフリカワールドカップの2会場にも敷設されています。Jリーグも2010年からベンチワークはしていたのですが、今年改正になったきっかけと背景を説明させていただきます。
去年の夏のサッカーのルールブックの改正・競技規則の改正がありました。これまでは競技会規定に基づいて『天然または人工のフィールドで行う』と書かれていました。昨年のルール改正で、競技会規定で認められる場合には人工と天然をハイブリッド芝もできると国際サッカー評議会(IFAB:The. International Football Association Board)が改定しました。
競技規則の改正(JFAより/PDF)
つまり、これまでハイブリッド芝は、人工芝に入るのか天然芝に入るのか、どっちの部類に属するのかという問い合わせがすごく多かったのですけど、晴れてハイブリッド芝というのが『第3の芝生として市民権を得た』とこういう風にご理解いただけr場と思います。これに伴って、Jリーグは人工芝はこれまで通り認めていないものの、ハイブリッド芝は一定の条件で認めることになりました。
一定の条件をご説明を説明する前に、少しハイブリッド芝で誤解をされている点があると思いますので補足させていただきます。
(5)は20日(火)に掲載予定です。
「Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~」ではこのほかにも下記の記事などを掲載中です。
今年から設計がスタートする京都のスタジアムについて「試合終了から30分後には渡月橋の上にいられるという立地(Jリーグ・佐藤氏)」~2017年のスタジアム動向より~(3)
「Jリーグを目指すクラブがスタジアムを整備して入会を目指す、これはJリーグのクラブ経営的にも期待できると考えています(Jリーグ・佐藤氏)」~2017年のスタジアム動向より~(2)