
【田村修一の視点】2025年9月13日 日本フットボールリーグ第21節 クリアソン新宿vsアトレチコ鈴鹿
JFL第21節 クリアソン新宿1(0-0)1アトレチコ鈴鹿
18:00キックオフ 味の素フィールド西が丘 入場者数 1,312人
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シーズンの3分2を終え、16チーム中14位の新宿が13位の鈴鹿をホームに迎えたゲーム。どちらも降格ゾーンに落ちないために勝利が必要な戦いは、ともに試合を決めきる機会を逃して痛み分けに終わった。
勝利への手応えが掴めない。今後を戦っていくための自信を得られない。そんなもどかしさがどちらにも感じられた試合でもあった。
新宿は、一瞬の隙を突かれ鈴鹿に先制点を許した(63分、庄司景翔)ものの、試合を通して自分たちの攻撃の形を作り続けた、島田譲が攻撃の起点となりサイドに展開する攻撃は、たびたびゴール前に得点チャンスとなるボールを送り込んだが、鈴鹿のディフェンダーを剥がし切れずにシュートを思うように打ち切れない。
終盤の迫力ある攻撃から同点(90+2分、池谷友喜)に追いついたのは底力を感じたが、北島秀朗監督も認めるように、チームとしてゴール前までの攻撃をさらに突き詰めて行くとともに、個のスキルアップで最後の状況を打開できるようにならない限り、勝ち点を積み上げるのは簡単ではない。ただ、ひとつの得点、ひとつの勝利が、自信を得る契機となることも十分にあり得る。
一方の鈴鹿も、見事な個人技(ボレーシュート)で狙い通り先制しながら、ゲームをクローズできずに終盤に同点に追いつかれてしまった。勝ち切れていないチームの、精神的な不安定さの露呈と言ってしまえばそれまでだが、痙攣する選手が続出する過酷な戦いでも、最後まで粘り強く集中力を保ち続ける強さが、選手にも首脳陣にも求められる。個々の技術は決して低くはない。ベンチからでも影響力を与える三浦知良(カズ)を、体調不良で欠く今こそチームの真価が問われる。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。