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【森雅史の視点】2025年9月12日 J1リーグ第29節 FC町田ゼルビアvs横浜FC

J1リーグ第29節 町田 1(0-0)1 横浜FC
19:05キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数 7,035人
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9試合負けなしから前節川崎戦は3-5で手厳しい敗戦を喫した。この一敗が町田に影を落としたようだ。前半30分まではボールを奪うと失点リスクを減らしたいのか、ひたすら前線めがけて蹴りまくる。2024年の調子の悪いときの町田の姿にそっくりだった。何の工夫もないロングフィードで藤尾翔太はひたすらボールを追うことしかできない。そして横浜FCがボールを握ってときにハーフコートゲームのように攻める有様だった。

 

30分過ぎ、やっと落ち着いて盛り返してきた町田だったが、先制点は横浜FC。56分、望月ヘンリー海輝が途中で出てくるという想定でサイドに置かれていた本来CBの細井響がロングスロー。これが町田のエアポケットに入ったかのようにゴール前まで飛んで行き、フリーになっていた伊藤槙人が蹴り込んだ。本来ロングスローを得意とするはずの町田にロングスローで仕掛けるという強気の作戦が功を奏した。

 

町田にとってよかったのは、失点後に焦って前半のような姿に戻らなかったことだった。しっかりと落ち着いてボールを回して攻め続ける。そして88分、右サイドの望月に出すかと見せかけた仙頭啓矢が逆サイドにクロスを上げると、ジャンプ力を誇る相馬勇紀が相手に競り勝ってボールを折り返し、これを斜め後ろのジャンプしながらミッチェル・デュークが合わせて同点に追いついた。結局そのままタイムアップ。両者が勝点1ずつを得ることになった。

 

この試合で特筆しておきたいのは、審判が判定を下したとき、そしてそれに対して不満があったとき、両チームのベンチが飛び出していかなかったことだ。監督は抗議することがあったとしても、他のスタッフはその成り行きを見守った。そのおかげで何かが起きたときもそこで長居時間が使われることなく試合が続いた。両チームの姿勢を讃えたい。

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート