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【田村修一の視点】2025年8月27日 天皇杯準々決勝 FC東京vs浦和レッズ

天皇杯準々決勝 FC東京2(0-1)1浦和
19:03キックオフ 埼玉スタジアム2002 入場者数 17,495人
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「日本はホーム&アウェーの違いがヨーロッパほどないけれども、埼スタとカシマはちょっと違うじゃないですか。そこを何とかひっくり返したいです」

 

味の素スタジアムで京都に敗れたFC東京の松橋力蔵監督は、試合後会見の後で本音を吐露した。中2日での試合。リカバリーと調整の練習しかできない状況で、それでも松橋はできる限りの準備を整えて試合に臨んだ。選手に求めたのは戦う気持ちの強さ、そして戦略は、前半は武器であるスピードのある攻撃の選手(俵積田晃太とSBのバングーナカンデ佳史扶、仲川輝人)を温存し、後半に勝負をかけることだった。

 

前半、浦和に押し込まれ主導権を握られたのは、自分たちの狙った戦いではなかったと松橋は言う。だが、終了間際(42分)にミスがらみで小森飛絢のラストパスを金子拓郎に決められ先制されたことまで含めて、想定内だったように思えてならない。後半になればボールを支配できる。チャンスは必ずやって来るという確たる思いが松橋にはあったのだろう。実際、スピードという武器を得た東京は、マルセロ・ヒアンの2得点(52分と65分)で逆転に成功。終盤の浦和の猛攻も防ぎきって、準決勝への切符を手にしたのだった。

 

ただ、東京が、天皇杯を勝ち切るだけの武器を持っているかどうかに関しては、現状では疑問符がつく。あるいは常勝チームになるための課題と言い換えてもいいが、それにはディシプリンとプレースピードの強化が不可欠である。現段階では選手個々のスピードが、チームとしてのスピードにまで昇華されてはいない。それが実現できるチームであると思えるだけに、残りのシーズンに期待したい。

 

一方、敗れた浦和は、ここしばらく同じ弱点を露呈し続けている。前半のパフォーマンスを後半は維持できない。選手交代でチームを活性化できない。選手も監督もポテンシャルは十分に備えているにもかかわらず、それが目に見える形で現れないのはいったいどこに問題があるのか。マチェイ・スコルジャ監督も含め、原因を究明できないので解決策を見いだせない。ジレンマはいつまで続くのだろうか。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。