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【六川亨の視点】2024年11月10日 J1リーグ第36節 東京ヴェルディvsヴィッセル神戸

J1リーグ第36節 東京V1(0-1)1神戸
14:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者21,709人
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J1リーグ第36節の残り2試合が10日に行われ、首位の神戸は後半アディショナルタイム+1分のOGで東京Vと1-1のドロー。2位の広島は浦和に0-3と完敗した。この結果、前日にFC東京を3-0で粉砕した町田(勝点63)にも優勝の可能性が復活した。

 

第36節を終えて勝点68の神戸は次節で柏に勝利し、2位の広島(勝点65)が札幌と引き分け以下なら1試合を残して連覇が決まる。

 

試合後の記者会見に臨んだ吉田孝行監督は、最後まで沈痛な表情のままだった。それもそうだろう。つかみかけた勝点3を土壇場で失ったからだ。前半7分に右CKのクリアからCB山川哲史が見事なボレーを突き刺して先制。43分には武藤嘉紀の左ポスト痛打のシュートもあった。大迫勇也と酒井高徳をケガで失いながらも、堅守から武藤や宮代大聖がロングフィードを受けてのカウンターは健在。城福浩監督をして「前からプレスに行ったらロングフィードなんですよ。それをしっかり収めてフォローしてくる」と言わしめた。

 

対する東京Vは、前半は神戸の高いDFラインの背後へロングパスを出して攻略の糸口をつかもうとしたものの、1対1にも強い神戸DF陣にチャンスらしいチャンスを作れなかった。ところが後半はショートパスに加えてピッチ幅をワイドに使った攻撃で神戸を攻め立てた。終盤は菊池流帆、初瀬亮、膝の大ケガから復帰した山口蛍らを投入して逃げ切りをはかる神戸に対し、東京Vは染野唯月や村松優太らを投入して反撃を試みた。そして後半アディショナルタイムに入った直後、山見大登の左クロスをマテウス・トゥーレルがクリアしそこねて痛恨のOG。吉田監督は「最後、仕方ないなと思いますが、残り2試合勝ち続けるしかない」との言葉にも力強さは感じられなかった。一方の城福監督は「勝点1というのは今日の手応えから逆算したら悔しい。もう1回やったら勝てるという成長を感じた試合だった」と強気の姿勢を見せつつも、「公式記録でシュートが6本というのは課題。あれだけボールを持ったらもっとシュートを打たないといけないし、決定機を作らないといけない」と反省点も指摘した。町田の躍進に隠れがちだが、東京Vのシーズンを通じての成長も特筆すべき出来事だろう。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。