
【田村修一の視点】2025年5月25日 J1リーグ第18節 FC東京vsサンフレッチェ広島
J1リーグ第18節 FC東京 0(0-0)3 サンフレッチェ広島
15:04キックオフ 国立競技場 入場者数 46,206人
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国立競技場でおこなわれた試合は広島が東京に3対0と快勝。5連勝で3位に浮上した。
前半は拮抗した展開だった。どちらもチャンスを作り出すが、広島が組織的なパスワークで崩すのに対し、東京はドリブルと個の連携による突破が目立った。
後半は形勢が傾いた。前田直輝に替えての中村草太の投入(46分)により、広島はサイドから東京DFの裏に抜ける突破でチャンスを掴み優位に立ち、サイドの崩しから次々と得点を重ねた。東京も選手交代で反撃を試み、グループの連携から広島の守備ブロックを崩しかけた時間帯もあったがゴールまでは遠かった。
広島と東京。両者の違いは、選手が監督のコンセプトをよく理解し、自分たちのやるべきことを迷いなく出来ているかどうかの差であるといえる。ミヒャエル・スキッベ監督に率いられて3年目の広島は、その点で迷いがない。自分たちの拠り所がどこにあり、どこにフォーカスして戦うべきかを分かっている。シーズンを通して戦えるメンタリティを広島は確立している。
一方、就任1年目の松橋力蔵監督は、コンセプトの浸透という部分でまだ不十分といわざるを得ない。勝っても負けても、自分たちは何をやり続けるべきなのか。選手がそこに確信を持ち戦い続けられるチームは強い。
シーズン途中でも、監督がチームを変貌させることは可能。数は多くはないが、劇的に変化したチームを幾度も見てきた。松橋監督に期待したい。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。