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【田村修一の視点】2025年5月21日 J1リーグ第13節 川崎フロンターレvs浦和レッズ

J1リーグ第13節 川崎F 2(1-1)2 浦和
19:03キックオフ Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu 入場者数 20,302人
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ACLの戦いを終えた川崎と、これからクラブW杯に臨む浦和。ともに過密日程の少なからぬ影響を受けての戦いは、どちらも最高峰のパフォーマンスを発揮するには至らなかったものの、力のこもった見ごたえのあるものとなった。

 

サウジアラビアでの戦いを経た川崎は、チームが一回り逞しくなった。この日も浦和を相手に球際の攻防で一歩も退かず、42分に中島翔哉に意表を突くミドルシュートで先制された後も、5分後にはコーナーキックからマルシーニョが押し込んで同点で前半を終えた。

 

後半になると徐々にペースを掴み、浦和がまったくボールに触れられない時間帯も続いた。86分には交代出場のファーストタッチで繰り出した大関のミドルパスをファンウェルメスケルケンがダイレクトで折り返し、瀬川が決めて逆転に成功。だがアディショナルタイム(94分)に、同じようなパターンで浦和の大久保に同点ゴールを許し、結果は両者痛み分けに終わった。

 

エリソンの負傷の程度は不安だが、今後は国内の戦いに集中できる川崎は、これから夏場に向けて徐々に調子を上げていくだろう。長谷部茂利監督のコンセプトも浸透し選手の理解力も高い。上位に顔を出す日も近いかも知れない。

 

一方、リーグを戦いながら同時にクラブW杯への準備も進める浦和は、目の前の勝利を目指しながらW杯へ向けてのテスト(選手の組み合わせ)もおこなうという、デリケートな戦いを強いられた。それでも同点に追いついて試合を終えられたのは、選手の精神面にはポジティブだった。

W杯までにあと2試合を消化せねばならないが、悔いのない準備をしてアメリカに向かって欲しい。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。