
【森雅史の視点】2025年5月21日 J1リーグ第13節 横浜F・マリノスvsヴィッセル神戸
J1リーグ第13節 横浜FM 1(1-1)2 神戸
19:03キックオフ 日産スタジアム 入場者数15,373人
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横浜FMの苦しさがヒシヒシと伝わってくる試合となった。19分、扇原貴宏のクロスをエリキがコントロールしてゴール右に決める。一度意気消沈した横浜FMだったが、43分、喜田拓也がミドルシュートを突き刺して同点に追いついた。
キャプテンの一発がチームを盛り上げ、後半の立ち上がりは横浜FMのペース。だが51分、扇原のFKを逆サイドから狙っていた大迫勇也がヘディングで決めて再度神戸がリードすると、もう横浜FMに反撃の力は残っていなかった。
この試合で、立ち上がりにサイドを疾走していた宮市亮は28分に負傷交代。アンデルソン・ロペスとヤン・マテウスも力強さやキレはなく、2024年は38試合で61点を取ったチームが現在は16試合で12得点と苦しみ最下位に沈んでいる。
だが「降格」ということになるとどうだろうか。実際のところ質の高い選手は揃っている。コンディションの問題が大きいだけと言えるだろう。また、まだ折り返しも終わっておらず、夏の補強で大きく状況が変わることも考えられる。
そして単に「残留」を考えるのなら、ひどく悲観的になるような試合ではなかった。敗れたにしても相手は神戸。また1点差で負けるのは、負け方としては一番いいのだ。毎年残留を争っているチームなら、必ず勝たなければいけない相手に絞って必勝態勢を取り、他のチームに対してはいかに傷がつかない戦いをするかという戦略を練っている。問題は、横浜FMがそんな戦略をとることに慣れていないことだ。実力さえ発揮できれば、という思いはあるだろう。「残留」だけを考えるのなら、まだまだ道はたくさん残されている。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート