
【田村修一の視点】2025年5月3日 J1リーグ第14節 浦和レッズvs東京ヴェルディ
J1リーグ第14節 浦和2(2-0)0東京V
15:03キックオフ 埼玉スタジアム2◯◯2 入場者52,429人
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前半と後半で様相がまったく異なる試合となった。
前半は浦和ペース。大観衆の声援をバックに、このところ急速に精度を高めた攻撃サッカーで東京Vを圧倒した。前線の選手がポジションチェンジを繰り返しながらもバランスを保ち、狭いスペースでパスを繋ぐスタイルは、プレースピードの違いこそあれパリ・サンジェルマンの精緻なスタイルを彷彿させた。6分には見事な個人技で松尾祐介が先制点。31分にはコーナーキックから渡邊凌麿が追加点をあげて東京Vを突き放した。
だが、後半になると東京Vが盛り返す。前がかりのプレスでボールを支配し、浦和を自陣へと押し込めた。特に谷口栄斗が退場となり10人対11人の戦いになった73分以降は、数的不利をまったく感じさせずに積極的に浦和ゴールに迫ったが、得点には至らなかった。
浦和が抱える最大の問題は、先発と控えのクオリティの差である。選手交代により、試合をスムーズにクローズできない。マチェイ・スコルジャ監督がどう解決していくのか。2016年以来のリーグ戦5連勝は称賛に値するが、チームが成熟していくのはこれからである。
一方、東京Vは、試合へのアプローチ——それもメンタル面での入り方に問題を露呈した。相手を上回る強いメンタルで試合に臨むのは、城福浩監督の真骨頂であったはずだが、そこが揺らいでいる。この日も千田海人が前半で負傷退場するなど、怪我により離脱者も多く厳しい状況は続くが、何とか態勢を立て直して欲しい。
田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。