後半戦に向けての談話:奥山泰裕【ラインメール青森FC通信】
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今回はWEBマガジン「川本梅花 フットボールタクティクス」からの記事になります。
【ラインメール青森FC通信】後半戦に向けての談話:奥山泰裕(川本梅花 フットボールタクティクス)
2017年07月11日更新
第19回日本フットボールリーグのセカンドステージが7月8日から始まった。 ラインメール青森の初戦の対戦相手は、ヴィアティン三重である。試合は両チームともに譲らず、0-0の引き分けで終わる。ファーストステージを4位でフィニッシュした青森は、これで15試合負けなし。3月5日の1stステージ第1節・Honda FC戦を最後に、8勝7分けと無敗を続けている。
年間順位4位を目標に定める青森は、このままチーム力が向上していけば、トップ3以内でフィニッシュすることも可能だ。そこで「なぜラインメール青森は負けないのか」をテーマに、2人の選手に話をうかがった。最初に登場してもらうのは、ウイングバックの奥山秦裕選手である。
なお、2ndステージ第1節の試合結果は以下の通りである。
2017年7月8日(土)13:00キックオフ
ラインメール青森FC 0-0 ヴィアティン三重
試合会場:弘前市運動公園陸上競技場
http://www.jfl.or.jp/jfl-pc/pdf/2017A003/2017A0031611.pdf
後半戦に向けての談話:奥山泰裕
――1stステージは、最終的に4位の順位で終えました。奥山選手自身、ケガがあって数試合欠場しました。悔しかったと思います。
奥山 チームとしては、年間4位を目指そうと目標にしていたので、1stステージを4位で入れたことは大きかったです。それも、3位のFC大阪と同じ勝点30で終えましたからね。チーム全体を見れば、この結果は良かったと思います。個人としては、腰のケガで離脱もあったので、リハビリ中は、ちょっと不安というか、大丈夫かなと心配だったんです。いまはリハビリを乗り越えて復帰ができたので、2ndステージでは、もっともっと頑張っていけたらと思います。ケガをせずに試合に絡みたいですね。
――チームは、第2節から負けないで1stステージを終えました。昨季の後半にも、負けない時期がありました。昨季と今季では、どんなところに違いがありますか?
奥山 選手がチームに持っている印象は、変わらないんです。うちのチームは、選手に同じような手応えというか、チームは大崩れをしない、とみんな思っています。今季は、昨季まで少なかった逆転勝ちがあったりして、試合で負ける雰囲気がないんです。簡単なミスで失点をするというシーンが、あまりない。そういう自信は、選手全員にあります。
――対戦相手に負けないチーム作りが、戦術的に何かあったんですか? 奥山選手がケガをする前と、ケガから復帰してから、試合の中で具体的にやり方に違いがあったのですか?
奥山 昨季からそうだったんですが、ケガをする前は、1点を取って、それをずっと守り抜く戦い方でした。うちが先制したら、相手の攻撃を受け止めるスタイルですね。だから、同点にされたら、そこから逆転することは難しかったんです。でもここ最近は、1点取ったら全体が引くんじゃなくて、ラインを高くしてFWとの距離を短くし、全体をコンパクトに保って戦う。追加点の2点目を狙いつつ、というサッカーにシフトチェンジしてきています。だから、昨季まであまり見られなかった逆転勝ちがあるんです。1点を取って守り抜く戦い方じゃなくて、2点目を狙いつつゲームを閉めていく。チームは、進化していると思います。
――戦い方をシフトチェンジしたのには、何かキッカケがあったのですか?
奥山 復帰して最初にスタメンで使ってもらった試合の時ですね。
――復帰したのは、(5月3日の第7節の)栃木ウーヴァFCでの後半(67分)でした。次の試合のヴィアティン三重戦でスタメン出場します。この試合は、1-0で青森が勝っているんですね。
奥山 相手に完全にボールを持たれてしまった試合でした。「これだとしんどいな」と選手同士で話になったんです。試合に出ていて、ギリギリで守っている感じを受けました。そう感じたのは、僕だけじゃなくて、チームのみんなもそう感じていた。「この戦い方で、相手にボールを持たれたら、夏場の戦いは難しいな」と。監督もその状況は十分に分かっていました。対策として監督が言ってきたのは、「ラインを高くして前からプレスを掛ける」というやり方でした。それが1stステージの途中から、はまってきたんです。
――1stステージのヴィアティン三重戦がキッカケになったんですね。
奥山 うちのチームの強みは、練習の中でやっていることを、みんながしっかり実戦で表現できることなんです。そこはすごい強みですよ。守備の際に、ボールをディフェンスラインで変な取られ方をして、カウンターを受けるというのも少ないですし。攻撃の際には、イエローゾーン(=相手の左右コーナー付近)に簡単に走って送り込んでクロスを上げる展開もできてきました。
そうしたやり方がチームに浸透してきた中で、1stステージの最後の方の試合では、うちがラインを高くしたのをリサーチしてなのか、そこを狙ってきているチームがありました。うちの最終ラインの裏にどんどんボールを蹴り込んでくる。最終節の流通経済大学(流経大ドラゴンズ龍ヶ崎)戦も、うちの3バックの横に選手を1人立たせていました。ウイングバックの後ろに攻め残りの選手を置くことで、うちのサイドの選手がその選手を気にして、前に上がれなくなっていたんです。相手もいろいろやってきているな、と感じました。うちが、相手にすごくスカウティングされていましたね。
――流経大戦は、1-0で勝ったんですよね。最終ラインが高いと、GKとDFの距離がひらくため、守る側がラインを上げたら、攻める側はDFの背後を狙ってきますよね。FWが裏に抜ける動きを見せたり、サイドの使ってそこに走り込んだり、単純に、裏にロングボールを入れたりします。要するに、ラインを下げさせたところで攻撃したいからです。当然、青森は裏をケアするためにラインを下げざるを得なくなりますよね。
奥山 いま話されたことを警戒してラインを下げる。それが、これまでのやり方だったんです。そこは、やり方を変えて、考え方も変えていこう、となりました。相手が裏を狙ってきても、できるだけラインを高く保って戦う。そのために、ラインの細かい上げ下げをして、相手と駆け引きしながら対応しています。ディフェンスラインの選手とワイドの選手との連係を深めています。
――それは、先に奥山選手が話していましたけど、トレーニングで落としこんだことを試合でやれているのですか?
奥山 紅白戦で出た課題をその後で話し合っています。ラインを高くするけど、相手がボールを蹴ってくる瞬間に、守備に関わる選手全員が下がろうとか。もしも1人の選手が、ラインを上げるのに遅れてしまったらオフサイドを取れなくなるから、ちゃんとラインコントロールに付いてこいとか。練習でも、試合中でもそうですけど、ラインコントロールは河端(和哉)さんが中心になって、すごく細かくやっています。そこが好調の要因ですね。僕はそう感じています。チームのみんなも同じように感じているんじゃなのかな。
――負けないラインメールを実感したターニングポイントと言える試合はありますか?
奥山 ヴァンラーレ八戸との試合ですね。八戸に勝てば相手を抜いて、順位が上がる試合でしたから。青森県内だとTV放送があったんです。相手もガチンコできた中で、そこでしっかり勝てたことが、チームの好調度を示す結果なりました(2-1で青森が勝利)。観客数も2000人超えたはずですね(2098人)。
その試合は、先に相手に先制点を取られて(19分、谷尾昂也)、すぐに1分後取り返して(20分、酒井大登)。ベンチの采配も的確でしたし、大胆な采配を監督がやってきたんです。39分に(高橋)寛太が調子よくないと見たら、すぐに赤松(秀哉)に代えました。前半のその時間で、ケガ以外で選手交代するのは珍しいじゃないですか。そういう決断とかをしたことで、選手に緊張感がすごく走ったと思うんです。
最終節の流経大との試合で、その前に寛太がケガをしたこともあるんですが、赤松が先発して、決勝点のヘディングを決めたんです。そうやって、代わりに出た選手がちゃんと結果を出している。誰が出てもやれている、というのは、チーム状態がいい証拠だからです。
――八戸戦は、JFL100試合目の試合になったんですね。いろいろな思いがあったと察します。奥山選手は、100試合についてどう感じています?
奥山 最初にジェフ(ユナイテッド市原・千葉)のトップに入ったんです。その当時、ジェフリザーブがあって、そこでJFLの試合に出ていました。そう考えると、およそ10年前になりますよね。J2でプレーした時期を含めて、細かく細かく刻んできた結果が、100という節目になったんだな、と。
ジェフ時代のこととかを思い出して、なんだか懐かしい気持ちになりましたよ。ファンの方は、横断幕で100試合というのを作ってくれて。写真のプリント入りなんです。ラインメールのサポーターさんからもらって。子供が生まれたので、チームの選手には、2点目が入った時に、ゆりかごダンスをしてもらって。サッカーやってきて……、ここまで続けてこられて、本当に良かったです。
――7月8日から2ndステージが始まります。ステージへの意気込みは?
奥山 練習後のミーティングでも話があったんですが、失点数がリーグ最少だったんです(15試合で10失点しかしていない。1位のHonda FCが11失点)。そこはそのままで、得点数を1試合平均2点にしていかないとならない。シーズンの総合優勝を目指すには、そこが改善点だろう、という話になったんです。いままでセーフティにクリアしていた場面を、ちょっと落ち着いて、一本、展開してみようじゃないか。チームをもっともっと進化させていくには、セーフティありきじゃなくて、チャレンジしていこうと。
――期待しています。ありがとうございました。
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