取材は「日立柏サッカー場」より【川本梅花】
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今回はWEBマガジン「川本梅花 フットボールタクティクス」からの記事になります。
【黄色の瞳】Note13:取材は「日立柏サッカー場」より(川本梅花 フットボールタクティクス)
2017年06月06日更新
6月4日の日曜日、その日の昼、僕は有楽町のルミネにいました。観戦予定の柏レイソル対浦和レッズ戦は、夜19時にキックオフだったので、余裕をもって日立柏サッカー場に行けると考えていたんです。18時に柏駅に着いたので、軽く食事をしてからでも間に合う。どこで食事をしようかと思案していたその時でした。iPhoneから着信音が鳴ります。電話の相手は、カメラマンのSくんでした。
「あの、いま受付にいるんですけど、パスが出されていないみたいなんです」
と戸惑いと不安の声が耳に届きます。僕も当然、パス申請は済んでいるものだと考えていたので、予期せぬ連絡にびっくりしてしまいました。僕は、パス申請を依頼した関係者に電話します。
「なんか、パス申請されてないらしいんだ」
「あっ、いやー、そうですか。すみません。確認してなかったです。申し訳ありません」
「Sくんが先にスタジアムに行っているから、どうしようか?」
「すみません。いやー、本当に」
「じゃあ、柏の関係者に事情を話してみるよ。なんとかしてもらえるように、お願いするから」
そう言って僕は、電話を切りました。
申請書は後日にファクスすることになって、「今後、このようなことがないように」と話されて、僕とSくんは、スタジアムに入って取材をすることができたんです。柏の関係者には、無理を聞いていただいて、本当に感謝しています。
そんなこんなで、無事に帰宅して、こうしてコラムを書いているのですが、実は、この日は、もうひとつ不思議な場面に遭遇しました。それは、浦和レッズの監督会見のシーンです。ミハイロ ペトロヴィッチ監督に最初に質問したのは、サッカージャーナリストの大住良之さんでした。質問した内容に答えたペトロヴィッチ監督は、通訳者が話をまとめ終えると、すぐに話を続けていきます。結局、大住さんの1つの質問の後に、監督の独演会に費やした時間は、20分近くでした。
進行者が、「質問は、あと1人で」と告げます。「えー、1人?」とサッカージャーナリストの湯浅健二さんが叫んで、最後の質問を監督に自ら伝えます。会見の前列右側の机には、大住さんと湯浅さんと後藤健生さんの重鎮ライターがそろい踏みしていました。重要な試合には、彼ら3人がよく右前列の席に座るのです。
それで、会見が長くなって、この後に柏の下平隆宏監督が待っています。僕は、選手に話を聞きたいので、ペトロヴィッチ監督の話の最中に席を立とうかと考えました。そうする手もあったのですが、監督のとりとめのない話がどこまで行くのかを聞きたいという妙な欲望が芽生えて、結局、最後まで独演会に付き合ってしまったのです。
全てが終わって、僕が、選手のインタビュー場所に行くと、目当ての選手はもうすでに取材を終えて、バスに乗っているとのことでした。
いい経験ができた、面白い1日を過ごしました。
それにしても、記者に質問させる時間を与えなかった浦和レッズの監督は、なかなかの策士ですよね。敗者は雄弁だったが、敗戦の真相を何も語らず。
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