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【森雅史の視点】2025年4月9日 J1リーグ第5節 川崎フロンターレvs横浜F・マリノス

J1リーグ第5節 川崎 3(1-1)3 横浜FM
19:03キックオフ Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu 入場者数21,478人
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4分、ジェイソン・キニョーネスが負傷交代し、7分に川崎が大関友翔のゴールで先制した時点で試合の行方は見えた。はずだった。だが、そこから横浜FMの猛反撃が始まる。判断力と技術の正確さで川崎を押し込んだ。そして41分、ヤン・マテウスがカットインから同点ゴールを決めた。

 

後半、川崎が脇坂泰斗を投入して一気に流れを引き戻した。脇坂を中心として試合のリズムとテンポを変えることで主導権を握り直したのだ。横浜FMは疲れが見えるようになり、攻めたあとに戻れなくなる。それでも何とか守り抜いていたが、67分のセサル・アイダルの意表を突くミドルシュートは止められなかった。

 

これで川崎の勝ちは確定。のはずだった。だが89分、倒れたヤン・マテウスのボールを宮市亮がそのままドリブルして右サイドを突破。クロスを植中朝日がオーバーヘッドで狙い、そのボールを天野純が蹴り込んで同点とした。

 

試合終盤でパワーを見せたこの宮市のプレーが起爆剤となり、横浜FMの動きが元に戻った。90+2分、横浜FMは左サイドを崩してゴール前にクロス。GKと縺れるところにヤン・マテウスが現れてゴールを奪い、この試合で初めて横浜FMがリードした。

 

後半アディショナルタイムのこのプレーで横浜FMが今季2勝目を挙げた。はずだった。しかし川崎は90+5分、CKから高井幸大が起死回生の同点ゴールを頭で叩き込む。そして3-3という壮絶なスコアのままタイムアップ。数分先が読めない試合展開は、プレーしている本人たち以外はとても楽しめたことだろう。これがドキュメンタリーでなければ、「やりすぎと言われてもおかしくないシナリオ」と呼ばれたはずだ。

 

 

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート