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【六川亨の視点】2025年2月16日 J1リーグ第1節 東京ヴェルディvs清水エスパルス

J1リーグ第1節 東京V 0(0-1)1 清水
14:03キックオフ 国立競技場 入場者数52,541人
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東京V対清水といえば、2年前のJ1昇格プレーオフで後半アディショナルタイムに明暗の分かれた“因縁”の再現でもある。昨シーズンの東京Vは前線からのインテンシティの高い守備と、労を惜しまない走力で周囲の下馬評を覆し6位と躍進した。その原動力は今シーズンも変わらず、さらに磨きを掛けて試合開始から清水に襲いかかった。しかし清水も昨シーズンは圧倒的な強さでJ2を制しただけに、時計の針が進むにつれて球離れを早くすることで前線からのプレスをかいくぐり、鋭いカウンターで東京Vゴールに迫った。東京Vの決定機は前半31分に右CKから最期はCB千田海人が放ったシュートだけ。これはGK沖悠哉が鋭い反応でゴールを死守。そして41分、右SB高木践の攻撃参加から、ゴール前でフリーとなった北川航也がヘッドで叩き込んで決勝点とした。

 

ターゲットである木村勇大へのロングパスはCB住吉ジェラレニショーンと蓮川壮大にことごとに弾き返され、サイドからの突破も封じられた東京Vは、ボールを保持する時間は長くてもなかなかシュートに持ち込めない。対する清水は素早くつないでのカウンターや、前線でのパスカットからのショートカウンターを仕掛ける。どちらが効率よく決定機を作れるかといえば後者であることは明らかだ。「23シーズンのプレーオフのヴェルディ相手に聖地国立でしっかり勝ちきってみせた。6位でインテンシティが高く走力のあるヴェルディ相手に守備はパーフェクト」と秋葉忠宏監督が胸を張ったのとは対照的に、敗れた城福浩監督は「この試合の特別感というものを、相手を上回れるよう準備してきたつもりでも、僕の準備の至らなさかなと反省している」と悔しさをかみ殺していた。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。