【六川亨の視点】2024年12月7日 J2昇格プレーオフ決勝 カターレ富山vs松本山雅FC
J2昇格プレーオフ決勝 富山2(0-2)2松本
14:03キックオフ 富山県総合運動公園陸上競技場 入場者11,847人
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リーグ4位の松本が2-1とリードして突入したアディショナルタイムは6分。劣勢の小田切道治監督は後半35分に186センチの松本孝平を投入してパワープレーに出ていた。対する霜田正浩監督は7分後に187センチのCB常田克人を送り込み、松本の高さを封じにかかった。そして迎えたアディショナルタイム45+3分、吉平翼の右クロスに碓井聖生がヘディングシュート。松本GK大内一生もパンチングでクリアしようとゴールマウスを飛び出したが、その鼻先で先にクロスにコンタクトした碓井が起死回生の同点弾を流し込む。アディショナルタイムは7分を過ぎていて、FKを獲得した松本はGK大内もゴール前に攻め上がる。しかし菊井悠介の右クロスがクリアされ、こぼれ球のクロスもブロックされたところでタイムアップのホイッスルが鳴った。
試合は「ドローではダメなのはわかっていた」(霜田監督)松本が前半で2点を奪った。一方の富山は、リーグ戦は16勝16分け6敗と昨シーズンの反省から「ハードワークは欠かせない」(小田切監督)と守備を強化して、“負けない”ことで3位に食い込んだ。そんなホームチームから松本が2点を奪う理想的な展開だった。しかし後半35分に碓井のゴールで1点差に詰め寄られると、1週間前に準決勝で対戦した福島と同じようなシチュエーションに陥ったのか、同点にされることを恐れて自陣に引いて防戦一方になる。その結果、富山のパワープレーを招いてしまい、つかみかけた3年ぶりのJ2復帰はするりと手からこぼれ落ちてしまった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。