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【六川亨の視点】2021年4月21日 J2リーグ第9節 東京ヴェルディvs京都サンガF.C.

J2リーグ第9節 東京ヴェルディ0(0-1)2京都サンガF.C.
18:03キックオフ 味の素フィールド西が丘 入場者数1,789人
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J1リーグが川崎Fの“一人旅”なら、J2リーグは新潟と琉球の“マッチレース”になるかと思われた。

ところが21日のJ2リーグ第9節では、首位の新潟が11位の栃木と2-2のドローで小休止(勝点23)。そして2位の琉球は7位の町田に0-3と敗れて今シーズン初黒星を喫した(勝点22)。

上位2強と対照的に、3位の京都は東京Vを2-0で下して勝点を19に伸ばし、4位の磐田も大宮に3-2で競り勝って勝点18と2強に肉薄しつつある。

その京都対東京V戦である。試合後の永井監督は「我々がやりたいゲーム支配はまずまずやれたと思います」と振り返ったものの、悔やまれるのは前半立ち上がりのゲームプランだった。GKマテウスからていねいにパスをつないで攻撃をビルドアップしようとしたが、それは前線からのハイプレスでボールを奪ってショートカウンター狙いの京都の思うつぼだった。

9分にはミドルサードで梶川のボールを奪ったFWピーター・ウタカがタテ関係にいたアンカーの川﨑につけると、川﨑は左サイドに展開。パスを受けたインサイドMF武田の早くて低いクロスに、ウタカはフリーとなって先制点を左スミに流し込んだ。

その後も13分と17分にドリブルやパスをカットして、素早い攻撃から東京Vゴールを脅かす。もしかしたら永井監督は、ボールを保持する時間を増やすことで京都のハイプレスをかいくぐり、相手を消耗させるゲームプランだったのかもしれない。

しかし前半を見る限り、パスの出しどころがなく“持たされている東京V”という印象を拭えなかった。

そんな東京Vだが、2失点を喫した後半15分過ぎからワンタッチプレーが増えて京都ゴールを脅かすようになる。左FWの山下は高速ドリブルで、右FWの小池は素早いポジショニングでフリーとなってパスを受け、サイド攻撃を活性化した。

すると京都の曺貴裁監督は、上下動の動きを要求されてハードワークをこなした両サイドBKやサイドMFらをフレッシュな選手に交代させて東京Vの攻勢をかわしにかかる。曺貴裁監督のサッカーは運動量が求められるが、それは選手も承知の上で全力を出し切る。その結果、交代枠5枚を効果的に使った京都が順当に逃げ切りに成功した。

ただ、敗れたとはいえ強度の高い守備から素早くサイドに展開する後半のサッカーは東京Vにとって自信につながるのではないだろうか。課題があるとすれば、試合開始から、そうした強度の高いサッカーを90分間できるかどうかだろう。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。