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【田村修一の視点】2024年11月27日 ACLE MD5 横浜F・マリノスvs浦項スティーラーズ

ACLE MD5 横浜FM 2(1-0)0 浦項
19:01キックオフ 横浜国際総合競技場 入場者数8,932人
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この試合の3日後に韓国FAカップ決勝を控えている浦項は、スタメンのほぼ全員を含むレギュラーの12人を国内に温存し、残りのメンバーで来日した。他方、11日ぶりの公式戦となった横浜FMは、過密日程のくびきからようやく解放され、ベストメンバーで試合に臨んだ。その時点ですでに、横浜MFの勝利はほぼ約束され、どれだけの内容差、点差になるかが試合の焦点になった。

 

たしかにプレーの内容では横浜FMが浦項を圧倒した。だが、圧倒的にボールを握りながらも、そして幾度となく決定機を作りながらも、横浜MFは試合を『殺す』ことはできなかった。

 

その理由は、横浜FMの攻撃の強度——試合を『殺す』まで強度をあげる必要のない状況で、セーフティな勝利を求めてそれを得た横浜FMのゲームマネジメントにあった。横浜FMにとっては、内容が伴えば勿論だが最優先は勝ち点3獲得であり、浦項にとってはアウェーで負けてもダメージを負うことがない内容だった。両者が想定の範囲内で終えることが出来た試合だった。

 

思い出したのは、Jリーグ開幕当初のJリーグ勢のACLの試合だ。国内リーグの安定と人気の定着を図るために、Jのクラブは日程が重なるACLにベストチームを派遣するのをよしとしなかった。だが、それでも、トップチームの代わりに派遣されたユースチーム(例えばヴェルディ川崎)は、アジアのトップチーム相手にそれなりの優れたパフォーマンスを発揮した。

 

今日、横浜国際スタジアムで起こったことは、今から30年前に日本がアジア勢相手に行ったことの裏返しかもしれない。後半53分にPKを失敗した18歳のキム・ミョンジュンを見たとき、韓国と浦項に関してはここからすべてが始まる。ここからすべてがポジティブに進化していくのだろうと思った。

 

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。