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【森雅史の視点】2024年7月13日 J1リーグ第23節 東京ヴェルディvsFC町田ゼルビア

J1リーグ第23節 東京V 0(0-1)1 町田
18:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数22,480人
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東京Vは敗れた気になっていないだろう。それくらい東京Vの戦略が町田を困惑させた試合だった。

 

6分、鈴木準弥のクロスに藤尾翔太が飛び込むが東京Vの選手が触ってオウンゴールとなった。長身の望月ヘンリー海輝に代えてパスの能力がある鈴木を投入した黒田剛監督の狙いは的中したと言えるだろう。ところが東京Vはその後攻めに出ない。町田がボールキープして、東京Vがカウンターを狙うという戦いになる。町田とすれば東京Vが積極的に前に出てくると思っていただろう。ところがその思惑は外れた。

 

後半に入るといよいよ東京Vが牙を剥いた。町田の前線からのプレスをかいくぐり、ボランチから自由に展開し始める。これで町田は一気に守勢に回った。だがそれでも1点のリードがあれば守り切るのが町田。体を張った守備で高い集中力でゴールにカギをかけた。それでも東京Vは88分、千田海人のパスに木村勇大が合わせて同点かと思われる場面を作る。ところがこれを谷晃生がこの日一番のビッグプレーで防ぎ、そのまま町田が逃げ切った。

 

この試合で勝利を収められるところが、今の町田の勢いということになるだろう。そしてこういう微妙な勝敗の付き方は、今後このカードの熱い歴史が積み重ねられていく予感がするものだった。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート