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【六川亨の視点】2024年6月22日 J1リーグ第19節 浦和レッズvs鹿島アントラーズ

J1リーグ第19節 浦和2(0-2)2鹿島
19:03キックオフ 埼玉スタジアム2◯◯2 入場者48,638人
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前半の浦和は2人のCBからビルドアップを試みたものの、前線の3人は1対1での勝負にまるで勝てない。ボールポゼッションこそ上回ったが、中途半端なポゼッションはカウンターを得意とする鹿島にとって格好の餌食だった。3分に師岡柊生のシュートをGK西川周作が弾くところ、鈴木優磨がフリーで押し込み先制。鈴木は42分にも追加点を奪ったが、前半アディショナルタイム45+3分にGK西川のファインセーブがなければ前半でハットトリックを達成したところだった。ランコ・ポポヴィッチ監督も「前半を一言で表すなら完璧。私が日本にいた中でベストの試合」と自賛した。

 

後半を迎えるにあたりマティアス・ヘグモ監督は、「左SBかウイングか議論した」という渡邊凌磨を左SBから左ウイングにコンバート。ボランチの安居海渡を前に出し、岩尾憲をボランチに下げた。これで攻撃にリズムが生まれ、20分には初めて決定機を迎える。さらにチアゴ・サンタナに代えてブライアン・リンセン、オラ・ソルバッケンに代えて前田直輝、31分には足をつった岩尾に代えて武田英寿を投入すると安居と伊藤敦樹のダブルボランチによる4-4-2にシステムチェンジ。ブライアン・リンセンと渡邊の2トップに、右は前田、左が武田という攻撃的な布陣で反撃に出た。

 

まず32分、伊藤のクロスを武田が左足インサイドで確実に流し込んで1点を返す。さらに後半アディショナルタイム45+2分、左サイドでFKを獲得すると、武田はクロスと見せて難しい角度から意表を突くロングシュート。これがニアサイドを居抜き、土壇場で浦和が「勝利に近い引分け」(ヘグモ監督)を引き寄せた。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。