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【森雅史の視点】2024年6月22日 J1リーグ第19節 FC町田ゼルビアvsアビスパ福岡

J1リーグ第19節 町田 0(0-0)0 福岡
15:03キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数9,092人
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町田には、近い将来に選択が迫られることを暗示した試合になった。

 

お互いに無理はしない。守備を重視し、セイフティファースト。ディフェンスラインはロングボールで相手を背走させ、そこにプレスをかけることを狙う。しかもお互いに相手の選手の特徴を事細かに分析しているので、蹴ったボールはどれも効果的で、アバウトなパスを引っかけてカウンターに移れる回数も少ない。ともにセットプレーには様々な工夫があったものの、それでもゴールを割ることはできなかった。

 

ここまでホームゲームでは必ずゴールを奪ってきた町田だったが、福岡の統制された戦いぶりには手数を増やすことはできなかった。それどころか福岡のほうが町田のミスを待ち、攻め込む機会が多かったと言えるだろう。つまり福岡は、町田から勝点を奪うためにはどうすればいいか、一つの方向性を示した。

 

シーズンの半分を終えて首位に立つ町田が、後半戦で必ず直面するケースがある。それは対戦相手が残留争いをしており、遮二無二勝点1を奪いに来る試合だ。この日の福岡と同じように相手が戦ってきたとき、ここまで町田が見せてきたリスクをとことん避ける戦い方では、この日と同じことになる可能性がある。そんなゲームになりそうなとき、町田は何を選択するのか。最低でも勝点1を積み上げようとするのか、あるいはリスクを取ってパスワークで相手を崩し得点を奪おうとするのか。

 

トレーニングでは様々な戦い方のバリエーションも構築している。そしてここまでの戦いではそれを封印し、勝点を積み上げてきた。順位を狙いたい状況になったとき、黒田剛監督はどちらを選択するのだろうか--。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート