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【田村修一の視点】2022年7月2日 J1リーグ第19節 柏レイソルvs鹿島アントラーズ

J1リーグ第19節 柏レイソル1(0-1)2鹿島アントラーズ
18:33キックオフ 三協フロンテア柏スタジアム 入場者12,462人
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鹿島が暑さ対策省エネサッカーで、効率よく柏を下した。アル・アハリ(エジプト、カイロ)で1シーズンを過ごしたレネ・ヴァイラー監督にとっても、日本の高温多湿は想定外だったのだろう。4月3日のホームゲーム、対横浜FM戦(0対3の敗北)の際に、「今後フィジカルをどう高めていくのか?」という筆者の質問に対し、「シーズンを通じて強化していくのは可能」と答えていたが、想定外の日本の暑さに不可能と思ったのだろう。もうひとつ、鹿島には、サークル・ブルージュへ移籍した上田綺世の穴をどう埋めるかという差し迫った課題もあった。ヴァイラーがクラブの歴史を考慮したとは思えないが、彼が選んだのは粘り強く守ってカウンターを仕掛ける石井正忠、大岩剛監督時代のしたたかなスタイルだった。だが、そこには、クラブの描く未来はない。クラブがヴァイラーに委ねた未来像と、現実に対処するヴァイラーが、クラブが描く方向性にどう折り合いをつけていくのか。今後の戦い方に注目したい。

柏に関しては、現実主義者のネルシーニョ監督が、正攻法で鹿島のゴールをこじ開けようとした。たしかに武藤雄樹と中村慶太が投入された61分以降は、柏が全面的にゲームを支配した。もちろん勝つことも大事だが、前節の横浜FM戦(アウェーゲーム。0対4の敗北)で失った自信を回復するのはそれと同じ以上に大事。ネルシーニョはそう判断したのだろう。彼の目論見は半分だけ達成された。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。