【森雅史の視点】2023年10月28日 J1リーグ第31節 FC東京vsサンフレッチェ広島
J1リーグ第31節 FC東京 1(0-0)2 広島
15:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数30,981人
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どちらのチームに何かかかっていた試合ではない。あえて言うなら、FC東京側はクラブ創設25周年記念試合で試合後に新ロゴが発表されることになっていたということだろうか。広島にしても、ここで勝利を収めても優勝の目はなかったし、ギリギリACLが狙えるという戦いだった。
だが、この試合にはJリーグのいい部分がとても出ていた。
両チーム合わせて直接FKが28回、間接FKが10回(すべてオフサイド)、シュート数は合計19本、GKは合計18回。両チームが非常にアグレッシブに戦っていたことを数字が物語る。シーズン終盤となると、来季の契約や年俸を考えて数字を作りにいったり、あるいはケガを怖れてプレーする選手がいてもおかしくない。ところが生真面目に、最初から最後までプレーを続けた。試合は同点で迎えた75分、満田誠がお手本のようなワンツーで抜け出し決勝点を決めたが、その美しいプレーも試合全体の「熱」に比べると、一つの要素だったに過ぎない。
「消化試合」となったにしても、この熱さがあれば見に行った人は満足できるのではないだろうか。Jリーグで大切に残していってほしい部分だ。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート