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【森雅史の視点】2023年10月1日 J2リーグ第37節 FC町田ゼルビアvsいわきFC

J2リーグ第37節 町田 2(0-2)3 いわき
14:03キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数6,417人
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31分、山下優人がFKを決めていわきが先制すると、41分にも谷村海那があっさりと加点し、前半を終えていわきが2点をリードする。後半に入って町田はバスケス・バイロンを投入し、サイドから崩そうとした矢先、甘いチェックで突破され、遠藤凌に試合を決定付ける3点目を奪われた。

鈴木準弥はこれまでの戦いでは「前半15分までに相手のラインの裏が取れたり、ロングスローで攻め込めた」と振り返る。だがこの日はいわきの徹底したプレスになすすべなく時間が過ぎていく。

それでも51分、チャン・ミンギュがCKから1点を返すと、3バックに変更して右サイドから崩し、ミッチェル・デュークが難しいボールをボレーで合わせて1点差に迫る。ただし、逆転するまでには至らなかった。

いわきの徹底した試合ぶりは称賛されるべきだろう。最後まで最終ラインを上げ続け、町田にオフサイドの山を築いた。迫力ある前線へのボールを怖れず戦った結果だと言える。

一方の町田は首位に留まったものの、悲願の昇格に向けては足踏みした。キャプテンのミッチェル・デュークは「キャプテンとしてやっぱりそれは責任があります。前のリーダーとしてみんなを引っ張っていかなければいけないのにできなくて残念です」と振り返る。

プレッシャーで動きが硬くなっているのではないか。そう聞かれると「フィジカルよりも、メンタルのところで、もう少しリラックスしなきゃいけない」と次戦に向けて意気込みを語った。

スタジアムには最後までファンの声が響き渡った。劣勢になっても最後まで励まし続けたからこそ町田は2点を返した。来週はこの声がさらに大きくなるか。この苦しいときをどれだけの人が共有してあげられるだろうか。

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート