【六川亨の視点】2023年6月24日 J1リーグ第18節 FC東京vs名古屋グランパス
J1リーグ第18節 FC東京2(1-0)0名古屋グランパス
19:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数28,636人
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5月12日の川崎F戦に勝って以来(2-1)、FC東京は1か月以上も勝利に見離された。鹿島戦こそ1-1で引分けたものの、その後は神戸と横浜FMに2-3、G大阪にも1-3と3試合連続して3失点で敗れた。3連敗を喫したことでアルベル監督は退任。6月18日のルヴァンカップ、グループステージ最終戦の京都戦は新監督に就任するピーター・クラモフスキー氏が見守るなか、安間貴義ヘッドコーチが暫定的に指揮を執り、3-1の勝利を収めた。
そして迎えたリーグ戦の第18節・名古屋戦。サッカーに限らず「勝っているチームには手を加えるな」という格言があるが、クラモフスキー監督は京都戦のDF陣をそのまま踏襲した。森重真人とCBのコンビを組んだのは木本恭生ではなくエンリケ・トレヴィザン、左SBには長友佑都が復帰し、右SBに安間監督はボランチを本職とする小泉慶をコンバートした。球際の強さによるボール奪取能力に優れた小泉のコンバートは大成功と言える。
試合はかつての指揮官である長谷川健太監督が的確に表現した。いわく「今日の東京は最後まで気持ちを切らさずに、出た選手がみんなよく走っていた」し、「いつもの東京ならどこかで抜けるのに、今日は最後まで集中力を切らさずに戦っていた」し、「ピッチサイドで見ていても相手の気迫が伝わってくるような試合で、監督が代わった影響かな」というものだった。
森重とトレヴィザンはキャスパー・ユンカーに自由を与えず、長友と小泉もダブルボランチとの連係から永井謙佑とマテウス・カステロの突破を阻止し続けた。そして2ゴールのディエゴ・オリヴェイラは、これで通算9ゴールとなり得点ランクの3位に躍り出た。昨シーズンは4ゴールに終わっていただけに、頼れるエースストライカーの復活は後半戦に向けて好材料と言っていいだろう。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。