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【六川亨の視点】2023年3月18日 J1リーグ第5節 浦和レッズvsアルビレックス新潟

J1リーグ第5節 浦和レッズ2(2-1)1アルビレックス新潟
15:03キックオフ 浦和駒場スタジアム 入場者数15,167人
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J1リーグで唯一無敗だった新潟が今シーズン初黒星を喫して7位へ後退した。「アルビレックスが無敗なのは偶然ではない。ビルドアップの上手いチームなので」と浦和のマチェイ・スコルジャ監督が評したように、新潟は浦和のハイプレスに対しワンタッチによるリターンパスの連続でプレスを無効なものにした。そして10分にはカウンターから太田修介が豪快なボレーで先制点を奪う。

対する浦和は右サイドMFに入った関根貴大と右SB酒井宏樹、トップ下から右サイドに流れる大久保智明らが細かいパス交換からサイドを崩しにかかる。同点ゴールは35分、ゴール前の空中戦の連続からクリアが小さくなるところ、最後は酒井が右足ボレーでねじ込んだ。さらに前半アディショナルタイム2分、MF岩尾憲の右CKの折り返しを左SB明本考浩が左足のジャンピングシザースボレーで突き刺して逆転に成功した。

リードした後半の浦和は、酒井も攻撃参加を控え、CBのアレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンは、プレスを受けたら無理してつながずロングボールを選択するなどセイフティーファースト。そして後半24分にはコンディション調整が遅れているように感じられるMFダヴィド・モーベルグとFWブライアン・リンセンを同時に投入して攻守のタスクを課す。さらに31分にはともに23歳の左SB荻原拓也とMF安居海渡を、これまた同時投入して攻守に活性化を図り、そのまま逃げ切りに成功した。

開幕2試合は完封負けで連敗したスコルジャ監督。連敗した2試合のスタメンは「選手が自信を失ってはいけない」と代えなかったものの、その後はスタメンを含めて試行錯誤を重ねつつ、リードしたら手堅いサッカーで3連勝を飾り5位に浮上した。今シーズン監督に就任したばかりで、「すべての要素を変えないといけない。まだチームを作っている段階なので、ビルドアップを改善しないといけない」と試合後に課題を口にしたものの、早くも勝利の方程式を見つけつつあるのかもしれない。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。