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【田村修一の視点】2022年9月10日 J1リーグ第29節 川崎フロンターレvsサンフレッチェ広島

J1リーグ第29節 川崎 4(0-0)0 広島
18:33キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数 20,873人
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広島相手に川崎がクオリティの高さを見せつけた。8月以降公式戦(Jリーグ、天皇杯、ルヴァンカップ)全勝の広島の強さは本物だ。川崎を相手にも、試合開始から厳しいプレスで攻撃のスペースを与えず、自分たちのペースで試合を進めた。だが川崎は、小さな水漏れが次第に大きな傷となってダムの堤防を決壊させるように、左サイドを起点に広島の組織的な守備の隙を少しずつ広げていく。マルシーニョの突破力が直接の武器だったが、本来は右サイドの家長が幾度となく左サイドの攻撃に加わったことが、数的優位の確立とゲームメイクの部分で、ボディブローのように広島の守備を揺さぶった。その左サイドを崩されて失点してから、広島は最後まで態勢を立て直せず後半は次々と失点を重ねた。

川崎は、全盛時の強さを完全に取り戻した。後半のプレー強度とスピードは、本来なら同点を目指す広島が仕掛けるべき戦い方で、ここぞとばかりにゲームを支配して試合を決めてしまった。まさに王者の戦いに相応しく、スキッベ広島監督も指摘するように、現在のJリーグで力が突出した川崎と横浜の優勝争いは、最終節まで続いていくのだろう。

 

 

 

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。