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【森雅史の視点】2022年8月7日 J1リーグ第24節 川崎フロンターレvs横浜F・マリノス

J1リーグ第24節 川崎 2(1-1)1横浜FM
19:04キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数 20,704人
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“真夏の夜の夢”と言える試合だった。勝った川崎は、ゴールが決まった直後にタイムアップになるという劇的な展開を予想できなかっただろう。負けた横浜F・マリノスにしても「この戦いをしたのだから勝ったのは自分たちじゃないのか」と思えるほど、誇り高く素晴らしいゲームだったに違いない。

試合は25分、ロングフィードのパスを山根視来がダイレクトで中央に送ると、レアンドロ・ダミアンがヘディングで合わせて川崎が先制点を挙げる。ところが45+3分、攻め上がった山根のボールをカットしたところからカウンターが始まり、薄くなっていた川崎の守備ラインをかいくぐって仲川輝人が同点とした。後半、川崎がジワジワと攻めるのに対して横浜FMは鋭いアタックで2回決定機を迎えるが、ポストとチョンソンリョンが防ぐ。そしてケガで主審が交代したたため大幅に伸びたアディショナルタイムの90+9分、家長昭博のクロスをジェジエウがヘディング。このボールもポストに当たったがゴールの中に飛び込んで決勝点になった。

「山根」「ヘディング」「ポスト」など、あとでキーワードをつなげてストーリーを作ることもできるような展開だった。それが余計にこの試合を劇的に演出したと言える。2017年以降の5年間、優勝を分け合ってきた両強豪の激突は、テクニカルながらハイ・インテンシティでぶつかり合いを怖れない、技をベースにしながらも激しさに溢れる戦いで、間違いなく今年のベストゲームの1つだろう。

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート