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【六川亨の視点】2022年8月7日 J1リーグ第24節 FC東京vs清水エスパルス

J1リーグ第24節 FC東京0(0-0)2清水エスパルス
18:04キックオフ 味の素スタジアム 入場者数20,577人
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6月26日の第18節でC大阪と1-1で引き分け、降格ゾーンの17位に沈んだ清水エスパルス。その後も横浜F・マリノスに3-5で大敗したり、“下位対決”のヴィッセル神戸に1-2と負けたりしたため磐田ともども残留争いに巻き込まれていた。

当然ながらフロントは、夏の移籍期間中に積極的に動いた。フォルタレーザEC(ブラジル)からヤゴ・ピカチュウ、C大阪を契約解除となった元日本代表の乾貴士、SKラピード・ウィーン(オーストリア)から北川航也ら攻撃陣を補強。だからといって、すぐに結果に結びついたわけではないが、少なくとも得点力不足は解消されつつあった。

FC東京はここまで10勝5分け8敗と、降格の危機はないかもしれないが、ACL圏内(3位以内)が現状からすれば妥当な目標だろう。このため夏の補強もケガ人のポジションを埋めた程度。FW永井謙佑やMF高萩洋次郎を放出したものの、もとよりアルベル監督の構想外だったため、差引勘定はゼロといったところか。

そんな両チームの対戦は、攻撃に課題を残しているため決定機の少ない試合となった。特に気になったのはFC東京の両サイドバックの疲労度だ。清水の先制点は右SB原輝綺のクロスを長友佑都の頭越しにカルリーニョス・ジュニオがヘッドで決めたものだが、これは後ろから飛び込まれたため長友にはどうすることもできなかった。

しかし、その後の長友は時おり攻め上がっても効果的な攻撃に結びつかない。ボランチの塚川孝輝とうまく意思の疎通ができていない印象を受けた。そして左SBバングーナガンデ佳史扶である。

前半は果敢な攻撃参加を見せてアダイウトンらと左サイドを活性化したものの、後半は時間の経過とともにミスが目立つようになる。22分に雑なヨコパスでボールを失いチャンスを逃すと、26分のフリーであげたクロスはニアの選手にブロックされるミスキック。集中力を失い、体力的にも限界のような印象を受けた。

さらに28分には右サイドからサイドチェンジのパスによく走ったものの、伸ばした足でトラップしきれずボールはタッチラインを割った。38分は塚川のスルーパスが相手にカットされてカウンターを受けたが、もうダッシュで戻る走力は残っていなかった。記者席から見ていても、早く右SB鈴木準弥と交代して、長友を左SBにコンバートすべきだと思った。

清水の2点目は後半40分、山原怜音の左CKはクリアされたもののレアンドロのパスをカットして、再び左から山原が突破を仕掛ける。マーカーはバングーナガンデ佳史扶だったが、山原がタテに仕掛けたドリブルについて行くことはもちろん、クロスに足を出すこともできず、チアゴ・サンタナが得点ランク3位タイとなる9ゴール目を決めた。

その1分後、アルベル監督は鈴木をピッチに送り出したものの、すでに試合は終わったも同然だった。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。