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【六川亨の視点】2022年5月29日 J1リーグ第16節 FC東京vs鹿島アントラーズ

J1リーグ第16節 FC東京3(2-0)1鹿島アントラーズ
15:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数28,436人
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アウェーの首位・鹿島は前節(5月25日)で鳥栖と壮絶な点の取り合いから4-4で引き分けた。中3日の試合ということで疲れもあったのだろう。一方のFC東京は、清水を左SB小川諒也の2ゴールなどで3-0と下し、4月29日のG大阪戦(2-0)以来5試合ぶりの勝利を収めた。そうしたモチベーションの差もあったのかもしれない。

試合後のアルベル監督は、理由は明かさなかったが「前半の飲水タイムで相手の強度が落ちるのはわかっていた」と振り返ったように、23分の飲水タイムから3分後、右FWの渡辺凌磨がバイタルエリア中央に侵入すると松木玖生のパスを受けて初シュートを放った。そして33分、小川がカットインしながらバイタル中央にいた渡辺につなぐと、渡辺は1タッチでディエゴ・オリベイラとのワンツーで抜け出しGKと1対1から先制点を決めた。堅守の鹿島はエアーポケットに入ったかのように、見送ることしかできなかったし、レネ・ヴァイラー監督も「飲水タイムのあと、自分たちが簡単に失点してしまった」と悔やんだ。

渡辺は、アルベル監督になって右FWだけでなく右SBなどにも起用されているが、昨シーズンは初となるJ1リーグで17試合に出場して2ゴールを決めている。それが今シーズンは14試合目にして1試合2ゴールで勝利を確実なものにした。いずれもディエゴ・オリベイラのパスを受けてGKと1対1から決めたものだが、1点目は「ファーに蹴るふりをしてニアに、2点目はニアがGKの頭にあるかなと思った」のでファーに蹴ったように、ゴール前での落ち着きがGKクォン・スンテを惑わせたようだ。

7月にビトーリアFC(ポルトガル)へ移籍するため、ホームでの試合はラストとなる小川(6月の2試合はいずれもアウェーのため)は清水戦の2ゴールや渡辺の2ゴールについて「バイタルエリアに入ったところのクオリティーや選手同士のイメージの共有がうまくいっていたと思う。慌てなくなったし、ゴール前で無理にシュートを打ったり、スペースのないところにドリブルしたりすることがなくなった」とチームの成長を口にした。

29日は首位の鹿島が敗れただけでなく、川崎Fも京都に0-1と敗れてまさかの連敗により3位に後退した。代わりに首位に立ったのは横浜F・Mだが上位陣は混戦状態だ。王者・川崎Fの停滞は予想外だったものの、神戸と湘南の健闘も含めてJ1は優勝争いと残留争いがガゼン白熱してきた。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。