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【森雅史の視点】2022年5月14日 J1リーグ第13節 川崎フロンターレvsアビスパ福岡

J1リーグ第13節 川崎フロンターレ 2(0-0)0 アビスパ福岡
16:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数16,704人
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シュート数を比べると川崎8本対福岡3本と、川崎が一方的に攻めたように見える。だが、そうではない。前半両チームとも無得点だったが、それは福岡が川崎をうまく抑え込んだからだ。川崎の細かいパス回しに慌てないでラインを下げず、ラインとラインの間に飛び出してくる選手にはパスカットで対抗した。また、川崎の守備ラインでボールが動いたタイミングからプレスをかけ、パスコースを限定していったことで谷口彰悟に普段からは考えられないほどのミスパス数を計上させた。攻撃では家長昭博のマーク役の志知孝明が積極的に上がって家長のマーク遅れを誘い、川崎の守備の綻びを待った。

だが55分、福岡がふと立ち止まってしまう。その一瞬の隙を見逃す川崎ではなかった。スローインから山根視来が前を向くと遠野大弥がポカリと浮いてフリーになっている。スルーパスを受けた遠野が素早く蹴り込んで先制点。福岡にとっては悔しい空白の時だった。59分、CKから車屋紳太郎がヘディングで決めて追加点を奪ったあと、福岡は反撃に移ろうとしたが、先手を取った川崎はボールキープ力を生かして福岡の勢いを食い止めた。

両者には試合の経験値で大きな違いがあったと言えるだろう。それでも試合後、福岡の奈良竜樹は川崎との力の差があったと振り返ったあと、「上には上がいる。川崎と意識が変えられる時期に戦えてよかった」と前向きなコメントを語った。

この試合のマンオブザマッチはレアンドロ・ダミアン。攻撃だけではなく守備でも多大な貢献をした。この試合で気になった点はレフェリーのポジショニング。川崎が攻めるときは多くの人数が関わるため、しっかり見ようと思うとどうしても選手の間に入り込まなければいけないのだろうが、パスコースに入り込んでしまうことが何度かあった。他の場面では毅然としたレフェリングで試合を引き締めていたので、その点だけ改善を期待したい。

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート