【六川亨の視点】2022年5月13日 J1リーグ第13節 浦和レッズvsサンフレッチェ広島
J1リーグ第13節 浦和レッズ0(0-0)0サンフレッチェ広島
19:33キックオフ 埼玉スタジアム2○○2 入場者数16,030人
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決定機は作った。前半14分には馬渡和彰がFKを直接ねじ込み先制もした。しかしこれはフィールドオンレビューの結果、岩波拓也のオフサイドにより取り消された。この結果、第12節で鹿島を3-0と粉砕した広島の勢いは止めた。しかし相変わらずゴールは遠く、5試合連続してのドロー。しかも直近3試合はスコアレスのドローで、リカルド・ロドリゲス監督も「何が我々に足りないのか。個で打開していくコンセプトは何なのか。何が我々に足りないのか考えているところだ」と頭を抱えていた。
試合を見ていて感じたのは、広島は昨シーズンのメンバーに大幅な変更はないためチームの完成度も高く、サポートのタイミングや距離感を選手は共有しているため1タッチや2タッチでパスをつないでいく。さながら「自然体のパスワーク」と感じられた。一方の浦和は新外国人選手が加わったり、ケガ人などが出たりして、チームを構築中といったところ。リカルド監督の目ざす、GKからビルドアップしてフィニッシュにつなげるサッカーを選手は一生懸命やっているものの、「努力のパスワーク」のためスムーズさに欠ける。
さらにもう1点付け加えるなら、真面目な選手ばかりのため監督の指示を忠実に守ろうとしている印象を受けた。例えば槙野智章や山中亮輔なら、監督の指示を無視して攻め上がってゴールに絡んだかもしれないし、興梠慎三ならエゴイスチックなプレーを選択したかもしれない。そうした意外性というか、野性味に欠けるのが今シーズンの浦和という印象だ。
広島戦からスタートしたホーム3連戦、次の相手は横浜F・Mで、その次は鹿島だ。いずれも「オリジナル10」のメンバーで、なおかつJ2降格経験のない2チームである。“3年計画”の最終年に結果を出すためにも、負けはもちろん引き分けも許されない2連戦である。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。