【六川亨の視点】2022年5月8日 J1リーグ第12節 FC東京vsサガン鳥栖
J1リーグ第12節 FC東京 0(0-0)1 サガン鳥栖
15:05キックオフ 味の素スタジアム 入場者数15,822人
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今シーズンの鳥栖は第11節を終了した時点で、堅守をベースに3勝7分け1敗と、札幌と並んで1敗を堅持している。失点7も福岡と並んで最少だ。一方のFC東京も、第10節を消化した時点では失点5と鳥栖を上回る堅守を誇ってきた。ところが第11節、アウェーの福岡戦ではCB森重真人とエンリケ・トレヴィザンが負傷でリタイアすると、フィジカルの強い左SB小川諒也をCBにコンバートしたものの大量5失点で今シーズン3敗目を喫した。
こうして迎えた第12節の鳥栖戦では、CBに今シーズン初めてロングフィードが持ち味の岡崎慎を起用。彼自身の出来はけして悪くなかったが、いかんせん攻撃陣が機能しなかった。アルベル監督はFCバルセロナのようにボールを保持して攻めるサッカーを新潟でもFC東京でも目ざしている。試合後は「サッカー面で言えばボールを保持することを理解して、ピッチで表現してくれた。それは成長している。決定的なチャンスも複数回、構築できた」と選手らを評価した。
しかし実際のところ、ボールを保持していたとはいえ、それは自陣でパスを回している時間の方が圧倒的に多かった。相手ペナルティーエリア近辺でボールを保持してサイドから崩しかけた回数は鳥栖の方が多く、岡崎やCB木本恭生のカバーがなければもっと早い時間帯に失点していただろう。決勝点こそ堀米勇輝の直接FKだったが、鳥栖が勝つべくして勝った試合だった。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。