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【森雅史の視点】2022年5月7日 J1リーグ第12節 横浜F・マリノスvs名古屋グランパス

J1リーグ第12節 横浜F・マリノス 2(1-1)1 名古屋グランパス
15:03キックオフ 日産スタジアム 入場者数22,178人
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24分、名古屋がCKから中谷進之介のヘディングで先制するものの、35分、名古屋のクリアボールに反応したエウベルが頭で押し込んで同点に。さらに86分、藤田譲瑠チマの落としたボールから西村拓真が丁寧にコースを狙い、こぼれたところをアンデルソン・ロペスが押し込んで決勝点とした。

名古屋は横浜FMをCKから何度も脅かしていたが1点に留まった。豊富な攻撃陣の連携はギクシャクしていてまだ最適解が見つかっていない。また3バックに対する消化も進んでいないと言えるだろう。選手と監督がどう意見をすり合わせていくかという段階ではないだろうか。こんなときに誰かがチームをリードしていかなければ解決には時間がかかりそうだ。もっとも、柿谷曜一朗のような実績のあるベテラン選手がうまくコントロールすれば、たちまち問題は氷解して上向くだけのポテンシャルはある。

ところで、この試合の81分、藤田が面白いパスを出した。足下への力強いパス回しが続いていた横浜FMで、藤田はペナルティアークの手前のスペース、誰もいないところに柔らかなパスを出した。両チームの選手がふとボールを見て動きが止まる。コース上にいたアンデルソン・ロペスが先に気付いてボールに寄り、ペナルティエリア左にパス。そこではうまく止めれば2対1で突破できるという場面が作られていた。この藤田の味のあるパスは東京V時代によく見られたもの。J2ファンの人が横浜FMの試合を見ると、記憶が甦るのではないだろうか。

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート