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【森雅史の視点】2022年4月3日 J2リーグ 第8節 東京ヴェルディvs大分トリニータ

J2リーグ第8節 東京ヴェルディ 1(1-0)0 大分トリニータ
17:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数3,120人
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大分の志の高さが表れた試合だった。開幕以来、週2試合ペースで11試合目となった大分は、気温9.8度、雨の降りしきる味の素スタジアムでのアウェイ戦に臨んでも自分たちのスタイルを変えなかった。

ピッチは足を滑らせる選手が続出するほどスリッピーで、ボールコントロールが少しでも乱れるとピンチを招くリスクがあった。それでも大分はパスをつないで崩す戦い方を変えない。東京Vの選手が鋭く詰めてきてもボールを大きく蹴り出して一息つく場面は数えるほどしかなかった。後半こそ足が止まり、パスが乱れるなど苦しんだが、単に勝点を重ねることを目的にしているのではなく、確固たる基盤を作ろうとしている姿を見ることができた。

一方の東京Vは開始10分ほどハイプレスに行ったが、奪えないとみるやじっくりと腰を据えて大分の攻撃を受け止め、そこから反撃に出た。43分の加藤蓮のシュートは雨で濡れた芝を使った技有りの一発。耐える部分は耐え、チャンスをしっかりとものにする試合巧者ぶりを発揮して昇格圏内をキープしている。

試合開始からタイムアップまで緊迫感が途切れることはなかった。この試合を冷たい雨のスタジアムで観戦した3,120人は、勝敗こそ分かれたものの内容には満足だったのではないだろうか。

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート