【六川亨の視点】2022年3月12日 J1リーグ第4節 FC東京Fvsサンフレッチェ広島
J1リーグ第4節 FC東京2(0-0)1サンフレッチェ広島
15:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数14,415人
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試合後の両監督のコメントは対照的だった。敗れた広島のミヒャエル・スキッベ監督が「いい戦いをしたと思う。失点するまで60分間、いいプレスをしてたくさんボールを奪った」と胸を張れば、勝ったFC東京のアルベル監督は「スタートから広島の激しいプレスを打開できない。キックオフから10~15分はビルドアップできなかった」と相手を称えた。
広島は前線の3人が高い位置からFC東京DF陣にプレスをかけると同時に、パスの受け手である前線のディエゴ・オリベイラ、アダイウトン、紺野和也や安部柊斗にも「マンマークでついてきた」(アルベル監督)。このためほとんどパスをつなげず防戦一方。もちろんFC東京も高い位置からプレスをかけたが、守備陣が連動してマーキングしていないため、簡単にフリーにしてパスを通される。11分の浅野雄也のゴールはオフサイドで取り消されたが、もしもゴールが認められていたら大量失点につながったかもしれない。
そこでアルベル監督は後半開始から動いた。12日のC大阪戦(1-0)はイエロー2枚で退場処分となった青木拓矢の代役に、本来はCBの木本恭生をコンバートしたが、機能しないと見るやCBエンリケ・トレヴィザンに代えて三田啓貴を投入し、木本を本来のポジションに戻す。さらに左MF満田誠とのマッチアップで劣勢を強いられた右SB渡邊凌磨に代えて長友佑都を起用。そしてシステムも4-3-3から安部と松木玖生のダブルボランチによる4-2-3-1にして守備の立て直しを図った。
この選手交代とシステムの変更が機能して試合をイーブンに戻すと、後半15分、三田の左FKからCB森重真人がヘッドで先制点をマーク。さらにその1分後、カウンターからアダイウトンが追加点を奪ってリードを広げた。
終盤は交代出場の鮎川峻に1点を返されたものの、アルベル監督は交代枠をフルに使いながら逃げ切りに成功。C大阪戦に続いて劣勢の試合でもしっかり勝点3を獲得し、5位に浮上した。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。