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【六川亨の視点】2022年3月2日 J1リーグ第10節 川崎フロンターレvs浦和レッズ

J1リーグ第10節 川崎フロンターレ 2(0-1)1 浦和レッズ
19:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数14,696人
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2月26日の第2節・鹿島戦は2-0の完封勝利を収め、チーム状況は上向きと思った王者・川崎Fだったが、浦和戦は再び低調な試合内容に戻ってしまった。ボール保持率では浦和を上回った。しかしパスはつながっても守備陣を崩すことができない。浦和の粘り強い守備もあったが、パスワークに意外性がないため剥がせないのだ。浦和の決定機が6回だったのに対し、川崎Fは2回のみ。しかしその2回をいずれもゴールに結びつけて逆転勝利を飾るしたたかな試合運びは健在だった。

同点ゴールは後半17分、脇坂泰人の左CKを173センチの家長昭博がマーカーの江坂任より先にジャンプしてヘディングで流し込んだ。そして2分後、ようやく川崎Fらしい攻撃を見せた。中央を脇坂がドリブルで攻め上がるカウンターを仕掛けて右へと展開。これは浦和DFにブロックされたが、脇坂が拾って再び右前へラストパス。するとペナルティエリア内で右SB山根視来がまったくのフリーで待ち構えていて左足を一閃。GK西川周作にはノーチャンスの一撃だった。

悪いなりにも勝点3を手にした川崎Fに対し、浦和は決定機を何度も迎えながら1点にとどまり1分け3敗といまだ未勝利と苦しんでいる。「チャンスは作ったけれどもそれを生かせなかった」(リカルド・ロドリゲス監督)のは前節のG大阪戦(0-1)とまったく同じ。2分け2敗の神戸と同様、5連戦の過密日程を強いられているACL出場組だが、くっきりと明暗は分かれたようだ。

 

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。