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【森雅史の視点】2022年3月2日 J1リーグ第10節 川崎フロンターレvs浦和レッズ

J1リーグ第10節 川崎フロンターレ 2(0-1)1 浦和レッズ
19:03キックオフ 等々力陸上競技場 入場者数14,696人
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前半はほぼ浦和のペース。川崎を囲い込み、少しでもボールコントロールが乱れるとたちまち奪い、鋭いアタックを見せた。パス回しでも川崎を上回るなど、連覇している王者に何の隙も見せなかった。

だが、後半に入ると一気に川崎ペースになる。「強度が落ちたときが問題」とリカルド・ロドリゲス監督は言うが、前半からは想像できないほどの脆さを見せた。川崎のパス交換が精度を上げると中盤が下がって余計に相手にスペースを与え、CKから失点するとその2分後には崩されて決勝点を献上してしまった。それでも45分間の強さは今後に大きな期待を抱かせるような内容だった。

川崎は浦和に助けられた部分はあったものの、後半に入って自分たちのストロングを取り戻した。相手に囲まれても落ち着いてパスを回し、時折混ぜるダイレクトパスで崩す。もっとも川崎が本来の強さを見せているかというとそうではない。終盤になるとファウルが増えてしまったのは、体力的な部分でまだ万全ではないことを伺わせた。それでも35分間見せた「川崎らしさ」で勝利を収めたというのは、王者の強さだったと言える。

今年のJ1リーグは現状、本命が見えにくい戦いになっている。まだ完成度を上げる時間がほしいだろう両チームにとって、この本命が飛び出していない状況は決して悪くないはずだ。

 

 

 

 

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート