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【六川亨の視点】2021年10月16日 J1リーグ第32節 浦和レッズvsガンバ大阪

J1リーグ第32節 浦和レッズ1(0-0)1ガンバ大阪
15:04キックオフ 埼玉スタジアム2○○2 入場者数10,233人
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ACLの出場権である3位を神戸、名古屋と争っている浦和にとって、14位に沈むG大阪との試合では確実に勝点3獲得したかった。しかしアディショナルタイムの失点で1-1のドローに終わり、福岡を1-0で下した3位・神戸との勝点差は5に広がってしまった。

それにしても“奇妙な試合”だった。浦和は立ち上がりから試合の主導権を握ってG大阪を攻め立てた。チャンスは数えるほどあった。しかし内転筋に違和感を訴えたキャスパー・ユンカーを欠いた前線は、チャンスをなかなか決められない。さらにユンカーの代わりに1トップに起用された明本考浩も前半35分に負傷交代を余儀なくされた。

0-0で進んだ試合は後半40分に一気にヒートアップする。小泉佳穂のスルーパスに反応した江坂任のシュートはCB佐藤瑶大がブロック。左サイドにこぼれたボールを大久保智明がワンタッチでゴール前に送ったものの、これはGK東口順昭がキャッチした。その後もプレーは続き、GK東口が足元にキープしていたボールに浦和の選手がアタック。東口は左タッチラインに蹴り出したが、その際に接触プレーがあり東口は倒れていた。

そこで主審の笛が鳴り、VARが導入される。あの程度の接触プレーでVARが入るのかと訝しんでいたら、さらにオンフィールドレビューが入り、問題のプレーがオーロラビジョンに映し出されたことでVARの理由が分かった。CB佐藤が江坂のシュートをブロックした際にハンドがあったとしてVARが入ったのだ。そして主審はじっくりとオンフィールドレビューをした結果、PKスポットを指した時は江坂のシュートから4分が経過していた。江坂がPKを左サイドネットに突き刺したのは、すでに後半アディショナルタイム1分。そしてアディショナルタイムは7分と表示された。反撃に出るG大阪は最終ラインからロングボールを放り込む。佐藤とアレクサンダー・ショルツが空中戦で競り、こぼれ球をパトリックがコントロールしようとしたところ、今度はCB岩波拓也が浮き球を両手で抱えるような格好でハンドの反則を犯し、G大阪にもPKが与えられた。パトリックがPKを決めたのは後半アディショナルタイム4分。まだ残り時間は3分ある。

当然、浦和は猛反撃に転じ、51分には小泉が強烈なロングシュートを見舞うが、これはGK東口がパンチでクリア。さらに52分には西大伍のシュートをペナルティーエリア内で岩波がヒールで流すと、抜け出した田中達也はGKと1対1の絶好機を迎えた。ところが田中のシュートは「もうゴチャゴチャしていて、ボールに食らいつくのに必死だった。ボールが懐に来た」と振り返ったように、倒れ込んだ東口の懐にすっぽり収まってしまう。

かくして「説明できない結果になった」(リカルド・ロドリゲス監督)試合は1-1のドローに終わった。

 

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。