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【六川亨の視点】2021年11月7日J2リーグ第38節 大宮アルディージャvsレノファ山口FC

J2リーグ第38節 大宮アルディージャ1(1-1)2レノファ山口FC
14:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者数5,403人
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ともに一時は降格圏に沈んでいた両チーム。監督交代を契機に徐々に浮上し、大宮は勝点37の16位、山口は勝点38の15位に浮上したものの、降格圏にいる19位の相模原(勝点33)との勝点差は僅かだ。このため勝つか負けるかで明暗が分かれる、痺れるような「6ポイントマッチ」だった。

さらに付け加えるなら、大宮の霜田正浩監督は昨シーズンまで山口を率いていた。現山口監督の名塚善寛氏を4年前にヘッドコーチとして招いたのも霜田監督であり、多くの選手が霜田前監督の薫陶を受けてきた。このため「霜田ダービー」とも言える試合だった。

結果は山口が逆転勝ちを収めて14位に浮上したが、勝因を「これだ」と指摘するのが難しい試合でもあった。互いにGKのゴールキックから怖がらずにパスをつないで攻撃をビルドアップするスタイルは“霜田流”だ。しかし山口の方が経験値で上回っている。さらに中3日の連戦で山口は7人を入れ替えるターンオーバーを採用。一方、選手層の薄い大宮は9人の選手が連戦となった。

それでも1-1で迎えた後半で決定機を作っていたのはホームの大宮だった。しかし、いずれもGK関憲太郎のファインセーブに阻まれる。そして山口のチャンスらしいチャンスは40分のFKだけ。ところがこの1プレーで決勝点を奪った。高井和馬のシュートはジャンプした壁の隙間を抜けてゴール右に決まる。ジャンプした壁の後ろには選手が横たわっていたものの、その選手に阻まれることなくゴールに飛び込んだ。たぶん2度と同じプレーはできないくらい、ラッキーなゴールでもあった。

大宮は、10月17日の千葉戦で後半のアディショナルタイム3分に失点して1-2と敗れると、10月30日のホーム磐田戦でも後半アディショナルタイム7分の失点で1-2、さらに11月3日のアウェー京都戦も後半アディショナルタイム6分の失点で0-1と敗れた。これだけ続くと「不運」の一言では片付けられないかもしれない。

試合後の会見の最後で霜田監督は「残り4試合、今までやったことのないような守備をしながら勝点を上積みしていくことが本当に良いかどうか。それが残留争いのあるべき姿なのか。そこは考えたいと思います」と、これまで貫いてきたポゼッション・サッカーからの変更を示唆した。残り4試合、まさに正念場である。

 

 

六川亨(ろくかわ・とおる)

東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。