J論 by タグマ!

サッカー選手としての格好良さとピッチ外の格好良さのギャップ。それも魅力の一つです【Jに魅せられて】

J2クラブはファンサの"距離感"が近い!?

昨季までのJ1リーグの2ステージ制導入など、近年のJリーグは新規ファン層の開拓に向けて積極的に取り組んでいる。しかし、満員の観衆で埋まる日本代表の公式戦と比べて、まだまだJリーグの動員力にはさまざまな課題が残っている。新規層に響くJリーグの魅力とは何か。その女性的視点で、女性ファン拡大の取り組みを続けている団体が『Jユニ女子会』だ。J論では定期的なシリーズ企画として、Jユニ女子会のメンバーにインタビューを敢行し、Jリーグの新規ファン層拡大のために、私たちができることを検証していく。第3回は”イケメン”選手をきっかけにJリーグの魅力にハマっていった二人のサポーターが登場する。(前編「“イケメン”がJリーグへの入り口でしたが、今では応援するクラブが大好きです」)

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(写真・左)ミサさん(FC東京サポーター/石川直宏きっかけ)
愛媛県出身、千葉県在住。石川選手がJリーグへの入口でしたが、今ではFC東京というクラブが大好きです。ナオさんと一緒にリーグ優勝したいです! Jユニ女子会を通して、Jリーグを盛り上げていけたらと思います。

(写真・右)えりさん(ザスパクサツ群馬サポーター/常盤聡きっかけ)
イケメン・トッキーがいるということでザスパを知ってから、ザスパのために戦う選手、サポーターを思ってくれる選手を見ていたら応援するように。今季こそ、ワクワクを楽しみにしています!

▼J2クラブはファンサの”距離感”が近い!?

ーーひとまずルックスは置いておいて、Jリーグの魅力はいかがでしょうか?

ミサさん:カッコイイ男性がいることは、Jリーグを好きになる一つのきっかけになりますし、話してみたら、全然イメージと違うこともあります。サッカーをプレーしている姿だけではなく、ツイッターやインスタ(インスタグラム)で普段の姿が見える機会が多いとうれしいですね。

えりさん:ちなみに話が逸れますが、J1クラブはファンサ(ファンサービス)の機会や時間が限られていますよね? 例えば、ザスパは長ければ10分ぐらい話をしてくれます。そうしたコミュニケーションを通じてスポーツ選手としての格好良さとピッチ外の格好良さのギャップが良いなと思います。例えばFC東京では順番待ちをしていて、最終的にファンサを受けられなかったこともありますか?

ミサさん:FC東京は人数が多いと握手だけに制限される場合もあります。あまりファンの数がいないと、握手もサインも写真も撮れます。例えば今年の始動日は約2 ,000人が小平に来たので、その場合は握手だけにしてくださいと言われることもあります。

えりさん:ザスパの場合は少ない日で3、4人しかいない場合もあるので、普通のお友達感覚でファンサービスをしてくれますよ。

ーーちなみに群馬の練習場にはどの程度の時間をかけて行っているのですか?

えりさん:練習場には高速道路を使ってだいたい1時間はかかります。でも1時間ぐらいだと、「今日は会って何を話すか」、「誰が試合に出るか」。そういった話をしていれば、1時間はすぐ経ちます。帰りの車内では「こういう試合だった」と話したり、チャントを歌っていれば、1時間はすぐに経ちますよ。全然苦ではありません(笑)。

ミサさん:私はあまり頻繁に小平へ行かないです。でも昨年のナオさんの誕生日にはプレゼントを持って小平へ行きました。ナオさんの誕生日に、毎年バラの花束を年齢の数だけプレゼントする方がいるんです。その花束を抱えたナオさんの写真を撮らせていただきました。昨年はたまたま非公開練習日にあたる木曜日がナオさんの誕生日で、非公開練習が終わったあとにファンサだけ公開するという形でした。

▼ハードルが高いチケットが入手困難な代表戦

ーーそれではお二人がJユニ女子会に入ったきっかけを教えてください。

えりさん:実際にスタジアムへ試合を見に行くとなると、一緒に行ける友人の状況に大きく左右されますし、仕事の関係で行ける日も限られてしまうとなると、ほかに一緒に行ける子がいるといいなと、いろいろと検索していたら、たまたまJユニ女子会というインスタのハッシュタグが目に入って、それで入会しました。でもまだ入ったばかりなので、実際の活動にはあまり参加できていません。FacebookやインスタでJユニ女子会の投稿を見て、一人で楽しんでいます。

ミサさん:私もきっかけはインスタです。もともとゴール裏に一人で見に行くぐらいゴール裏が好きなんです。ゴール裏で見るようになったきっかけは、mixiのFC東京のコミュニティに入れてもらって、そのコミュニティがたまたまゴール裏のコミュニティで”FC東京サポデビュー”がゴール裏でした。それからは「チャントを歌いたい」、「ゴールへ裏行きたい」とウズウズしてしまうほど、ゴール裏での応援にハマってしまいました。もともと一人でスタジアムへ行くことも苦ではなく、フットワークが軽いタイプなのですが、スタジアムへ一緒に行く友人が欲しくて、「Jユニ女子会楽しそう!」と入会しました。

昨年の5月に大規模なJユニ女子会が開催されて、それに参加したことで、FC東京の今の仲間たちに出会いました。メンバーとお互いに連絡を取り合って、一緒にゴール裏でチームをサポートしています。Jユニ女子会に入会したことで自分たちにしか分からないツボを話せるようになりました。やっぱりこれを語れる誰かが欲しいと思って。

えりさん:私も「この選手が……」という会話をしたいです!

ミサさん:Jユニ女子会には一人で見ていたという子が結構いました。一人で見るような人はそう多くはないと思っていましたが、結構いるんですね。

ーーゴール裏で飛んだり跳ねたりするのは、まさにジャニーズのライブに参加する感覚と似ていますね。

ミサさん:そうだと思います。選手を後押ししているという感覚は、自己満足でもあると思いますが、ただ見ているだけではなく、参加している感がすごく楽しいです。FC東京ではほかのクラブのように、ゴール裏でチャント集を配布するようなことはあまりありませんが、初めてでも十分に楽しめると思います。たとえ一人で行っても、ゴールが決まれば、隣のサラリーマンの方とハイタッチができますし。

ちなみに一番テンションの上がるチャントは、アイドリング!!!の曲が原曲である『サマーライオン』。ナオさんのチャントも歌いたいので、試合に出てほしいです……。昨年、J3の試合に出た時は休みを取って試合を見に行きましたが、泣きました(泣)。ナオさんとの握手は感極まってしまい、「待ってます」ぐらいしか言えませんでした。

ーーちなみにお二人は日本代表の試合を見に行くこともあるのですか?

えりさん:昨年のW杯最終予選・サウジアラビア戦を見に行きました。ある友人から「チケットが3枚あるから、人を集められる?」と言われたので、人数を集めてチケットをもらって見に行きました。ザスパも頑張ってはいますが、どうしてもサポーターの人数の差があるので、率直に代表の試合は派手だなと思いました。ほぼ一周日本サポーターだったという感覚も新鮮でした。サウジの応援席は変わった楽器を使っていて、変な音が聞こえてきました(笑)。


ミサさん
:代表の試合はチケットも取りづらいですし、仕事の関係もあって、代表戦は見に行ったことがありません。ただ試合は見るので、仕事帰りにスポーツバーに行くこともあります。代表にはモリゲがいますし。代表戦ではどうしてもFC東京の選手に目が行きます。モリゲと丸山(祐市)選手の二人が途中出場でピッチにそろった時は、FC東京のサポ仲間とLINEでやり取りをしながら見ていました。「マルモリ!マルモリ!」と(笑)。自分のサポートチームの選手は、どうしてもひいき目で見てしまいます。

▼ウッチーは正義!?


ーーちなみに何かクラブに要望を出せるとすれば、どんなリクエストを出しますか?

えりさん:グッズのバラエティーさが欲しいです。例えば大宮アルディージャのサポーターはオレンジのレプリカを着て、オレンジのリュックを背負って、オレンジに染まっている人たちがNACK5スタジアム大宮へ歩いて行く。そういう姿に憧れます。最初はユニを買って、タオマフを買って、とそろえましたが、ほかにはなかなかフィットするグッズがないという印象です。

ミサさん:女性向けのイベントをもっと開催してくれるとうれしいです。あとは試合の時に開催することは難しいかもしれませんが、選手と触れ合える機会がもう少しあるとうれしいです。

えりさん:タレントのJOYさんは結構群馬の試合を見に来てくれますが、いろいろと制限があるのか、もう少し群馬のために一肌脱いでほしいです。槙野(智章)選手(浦和レッズ)と一緒に写っている写真は、結構インスタにアップされるのですが……。

ーーせっかくの機会ですから、群馬の魅力について、語っていただきましょう。

えりさん:ザスパにはJ3・AC長野パルセイロから移籍してきた高橋駿太選手がいまして、彼はもともと引退を覚悟するほど、どこからも声がかからずにいたようですが、一昨季のオフにザスパからオファーを受けてザスパに来た選手です。実は今季一番に契約更新を発表した選手が高橋選手でした。「僕にはザスパへの恩がある」。そういったツイートをすぐにアップしてくれて、私は感動しました。高橋選手は試合後、「みんなの応援があったので勝てました」とか、「今日は勝てずに申し訳ございません」といったツイートをしてくれる選手で、しかも試合直後に更新されるんです。ザスパにはチームのために戦ってくれる、そんな選手がたくさんいます!

また試合前には選手が考えたスタグルを、選手自ら販売することもあります。さらにベンチ外の選手が毎回サイン会をやっています。練習場の駐車場は、選手と同じ場所に停められます。選手たちはお友達感覚で接してくれます。J1のクラブと比較すれば、応援の規模も声量も違いますが、J2には選手たちとの近い距離感があります。試合後には選手とのハイタッチもありますし、「あ、久しぶり!」といった声をかけてくださることもあって、サポーターは心から応援する親戚みたいな関係です。その近さが私は好きです。やっぱりJ1へ行くと、この近さはなくなるのかな……。

ミサさん:憧れの選手と一緒に写真が撮れるなんて、ジャニオタ時代には考えられないことです。

ーー日本代表で言えば、ウッチー(内田篤人/シャルケ)もイケメンですが、ウッチーはどうなんでしょうか?

ミサさん:スポーツバーで日本代表の試合を見ていた時に、ウッチーの話題が出ると、「私も好き! 私も好き!」となりました。だからウッチーは正義だねと(笑)。ウッチーは漏れなく、みんなが好きでした。

えりさん:イケメンはどうしても警戒されるけど、ウッチーはジャニーズで言えば相葉ちゃん(嵐/相葉雅紀)キャラですね。みんなに愛されていると思います。

郡司 聡(ぐんじ・さとし)

茶髪の30代後半編集者・ライター。広告代理店、編集プロダクション、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』編集部勤務を経て、現在はフリーの編集者・ライターとして活動中。2015年3月、FC町田ゼルビアを中心としたWebマガジン『町田日和』を立ち上げた。マイフェイバリットチームは、1995年から1996年途中までの”ベンゲル・グランパス”。