【六川亨の視点】2021年8月29日 J2リーグ第27節 大宮アルディージャvs松本山雅FC
J2リーグ第27節 大宮アルディージャ4(1-0)0松本山雅FC
19:03キックオフ NACK5スタジアム大宮 入場者数3,615人
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J2第27節の第1日(8月28日)は、首位の磐田が最下位の相模原と1-1で引き分け、京都が東京Vに3-1と快勝したため、入れ替わりで京都(勝点57)が首位に立った。そして勝点1を積み上げた相模原(勝点21)は、勝点20の大宮を上回り最下位を脱出した。そして迎えた第2日の29日は、ホームに松本を迎えた大宮が4-0の大勝を収め、勝点を23に伸ばして再び21位に浮上した。優勝争いは2強が抜け出しつつあるが、残留争いは13位の秋田(勝点31)まで、10チームによるサバイバルマッチが最終戦まで続きそうだ。
霜田正浩監督にとって、ホームでのうれしい初勝利であり、チームとしても3月27日の長崎戦(4-0)以来となるホーム2勝目だった。勝因は7月21日に徳島から獲得したFW河田篤秀が1トップ(4-2-3-1)に定着し、攻撃陣を牽引していることだ。タテパス1本で抜け出すスピードがあり、ポストプレーも巧みなストライカーは、隙さえあればいつもゴールを狙っている。松本戦でも後半6分、GKがペナルティエリアを出ているとみると、40メートル以上の超ロングシュートでゴールを脅かした。
4ゴールも長崎戦以来となる大量得点だが、霜田監督は「4得点はすべて練習どおりだった」と振り返ったように、マイボールにしてからの素早い攻撃が効果的だった。タテパスやサイドチェンジを交えたサイドからの崩しで、最後はフリーとなってシュートを決めていた。
この試合で注目したいのは、後半10分に奥抜侃志と交代で起用された「大宮のメッシ」こと柴山昌也だ。アカデミー出身の19歳のレフティーは、後半30分にカウンターからのクロスに詰めてGKと1対1になりながらシュートをぶつけてしまったが、そのこぼれ球から黒川淳史の3点目が生まれた。さらに35分には瞬間的なスピードで左サイドを突破してクロスを入れ、この流れから中野誠也の4点目につながった。すでに今シーズンは22試合目の出場で、初ゴールも決めている若きストライカーだ。
大宮にとっては、まだまだ厳しい試合が続くし、1試合1試合が“天国と地獄”の分かれ目になるだろう。それでも大宮の攻撃陣には黒川や奥抜だけでなく、新加入の河田であり柴山ら注目すべき選手がいるのは今後のアドバンテージになるような気がしてならない。
六川亨(ろくかわ・とおる)
東京都板橋区出身。月刊、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任し、W杯、EURO、南米選手権、五輪を取材。2010年にフリーとなり超ワールドサッカーでコラムを長年執筆中。「ストライカー特別講座」(東邦出版)など著書多数。