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【熊崎敬の視点】2021年3月21日 J1リーグ第6節 浦和レッズvs川崎フロンターレ

J1第6節 浦和レッズ0(0-1)5川崎フロンターレ
15:04キックオフ 埼玉スタジアム2002 入場者数4,679人
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前半の浦和は、小気味よくパスがつながり、三笘、家長を温存した前年のチャンピオンと互角に渡り合った。だが後半開始直後にレアンドロ・ダミアンに2点目を決められると、あっさり崩れる。終わってみたら5失点の完敗。

いいプレーをしていても、失点を重ねて崩れてしまうのは、たしかな実力がないからだ。チームが上手くまわっているときは、選手個々はそれなりのプレーができる。だが真価が問われるのは、チームが窮地に陥ったときだ。こういうときに、ひとりで流れを変えるようなプレーができるか、チームを背負うことができるか。

残念ながら、いまの浦和にはひとりもいない。失点すると声が出なくなり、下を向いてしまう。最後の砦となるべき槙野や西川も自分のことで手一杯で、若手を叱咤したり、助けたりすることができなかった。

新監督リカルド・ロドリゲスは優秀な指導者であり、未熟な選手たちをある程度のレベルまで引き上げてくれると思う。だが、監督は万能ではない。逆境に強いパーソナリティを鍛えられるわけではない。それは選手自身の問題だ。

若い選手たちが自立していけばいいが、そうならなかったときはフロントが働かなければならない。育つのを待つだけではなく、自立したひとりで戦える選手を外から連れてこなければ、厳しいシーズンになるかもしれない。

 

 

熊崎敬(くまざき・たかし)
1971年生まれ、岐阜県出身。主な著書に「サッカーことばランド」(ころから)、「日本サッカーはなぜシュートを撃たないのか?」(文春文庫)がある。海外を旅して草サッカーの見物、サッカーにまつわる壁画の発掘をライフワークとする。