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Jサポフリーペーパー文化。君は『アディショナルタイムズ』を読んだか?(J論)

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Jサポフリーペーパー文化。君は『アディショナルタイムズ』を読んだか?(海江田哲朗)J論プレミアム

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。


『柏でよりみち アディショナルタイムズ』のメンバーたち。右からふたり目が加藤良子さん。

Jサポフリーペーパー文化。君は『アディショナルタイムズ』を読んだか?(海江田哲朗)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]十九段目

▼ビジターサポ向けフリーペーパーはなぜ誕生したのか?

なんかおもしろい人たちと会ったぞ、という感覚だけが残っていた。

9月28日、僕は常磐線に揺られ、三協フロンテア柏スタジアム(日立柏サッカー場)に向かっていた。J2第34節、首位に立つ柏レイソルと東京ヴェルディのゲームである。列車が事故により遅延し、キックオフに間に合うだろうかと心配しながらスマホをいじっていたところ、知り合いの緑者から「駅前でフリーペーパー配ってるよ」と知らされる。ビジターサポーター向けという変わった代物らしい。

柏駅のペデストリアンデッキ、その一団は目立つビブスを着用しており、すぐにわかった。配布しているのは『柏でよりみち アディショナルタイムズ』。「編集長はガンバサポなんですよ」と紹介されたのが、えへへと笑うその人、加藤良子さんだった。その場は時間がなかったこともあり、『スタンド・バイ・グリーン』で使用する写真を撮影させてもらい、簡単な挨拶のみで別れている。

のちほど『アディショナルタイムズ』にじっくり目を通し、もっと時間に余裕を持ってくるんだったと僕は悔やんだ。手づくり感あふれる紙面、詳細なガイドマップには駅そばのグルメ情報やスタジアムアクセスが載っており、少なくともこれを読んでおけば久しぶりの日立台の往路で迷子になることはなかったのに。

それにしても疑問だ。これをつくろうとした動機は何なんだろう。

「私は隣の我孫子市に住んでいて、柏には仕事で来ていました。大阪から仲間がきたとき、日立台までの案内がないものですからだいたい迷うんです。また、柏の繁華街はチェーン店が多いんですけど、ちょっと路地に入れば美味しいお店やユニークなショップがたくさんあります。せっかく遠くからきたなら、柏の街を楽しんでほしい。それをどうやって伝えたらいいんだろうと何人かで考え、新聞をつくっちゃおうかと」

と言う加藤さん。そうして2016シーズンの開幕戦で創刊号を出し、今年で4年目を迎える。『アディショナルタイムズ』のメンバーは柏在住の他サポやレイソルサポーターらの混成軍だ。

紙面は手書き風。加藤さんの仕事はライティングと編集業で、デザイナーもメンバーに加わっている。つまり、素朴さを演出したプロの仕事である。
「紙と手渡しにはこだわりました。手から手へと届けたい。だんだん知られるようになり、わざわざ取りにきてくれる方もいてうれしいですね。配布後、私は日立台にはいきません。黄色に染まるわけにはいかないので」


試合情報からグルメ情報、終電の案内まで網羅。柏戦のときは、ぜひもらっておこう。

▼サポーターならではのこだわりと知恵

いまの時代、合理性を重視すればWEBの一択しかない。敢えてそうしないところに、合理や効率に背を向けても伝えたい何かがある。

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