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小泉慶と「春の湯」廃業(えのきどいちろう)

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小泉慶と「春の湯」廃業(えのきどいちろう)J論プレミアム

タグマ!サッカーパック』の読者限定オリジナルコンテンツ。『アルビレックス散歩道』(新潟オフィシャルサイト)や『新潟レッツゴー!』(新潟日報)などを連載するえのきどいちろう(コラムニスト)と、東京ヴェルディの「いま」を伝えるWEBマガジン『スタンド・バイ・グリーン』を運営する海江田哲朗(フリーライター)によるボールの蹴り合い、隔週コラムだ。
現在、Jリーグは北は北海道から南は沖縄まで58クラブに拡大し、広く見渡せば面白そうなことはあちこちに転がっている。サッカーに生きる人たちのエモーション、ドキドキわくわくを探しに出かけよう。
※アルキバンカーダはスタジアムの石段、観客席を意味するポルトガル語。

小泉慶と「春の湯」廃業(えのきどいちろう)[えのきど・海江田の『踊るアルキバンカーダ!』]十四段目

7月23日の夕方、13階に住むOさんからLINEが入った。0さんは同じマンションの住人で、ご一家で熱心な柏サポだ。お互いサッカー好きということで妙にウマが合い、W杯のときは真夜中にお邪魔して一緒に観戦したりしている。LINEを見たらスクショだった。柏レイソル公式から来たお知らせLINEらしい。

小泉慶選手の、鹿島アントラーズへの完全移籍が決定しましたのでお知らせいたします。
『このたび、シーズンの最中ではありますが、移籍する決断をしました。1年半という短い期間でしたが、レイソルでプレーできたこと、チームメイトに出逢えたことを忘れず、次の場所でも頑張ってきます。応援ありがとうございました』

スクショの下にOさんが「だそうです」と書き添えている。とっさにうまい返しが思いつかず、「ありゃ~」と驚きだけ伝えた。小泉慶はアルビレックス新潟でキャリアをスタートしたから僕もなじみがある。現在、柏も新潟もJ2だからこれは世間で「個人昇格」と皮肉られたりする移籍パターンだ。

新潟サポからも続々とLINEが入りだし、皆、「慶はレオ(・シルバ)と再会ですね」みたいな反応だった。そうだ、小泉慶はルーキー時代、柳下正明監督(現・金沢)に抜擢され、レオと組む機会があった。物怖じしない性格で、半分はハッタリでやってたようなもんだったろう。ボランチはもちろん、チーム事情でサイドバックをやらされることがあったが、いつも堂々としていた。大した度胸だった。

という具合いに新潟サポにとっては思い入れある選手なのだが、柏サポにはどうだろう。僕はOさんの「だそうです」にちょっぴり冷ややかなニュアンスを感じ取っていた。移籍して1年半か。それほどリーグ戦で活躍したわけでもない。ちょっと関係性が希薄なんだろうか。「だそうです」の裏側に「もう出ていくのかよ」という感情が潜んでないだろうか。ちょっとそこら辺の機微が読めなかったので「ありゃ~」とバカっぽい返しにしたのだ。

実はそのひと月前、6月30日に知る人ぞ知る出来事があった。足立区春の湯が廃業したのだ。春の湯は小泉慶のおじいちゃんが経営されいてる銭湯だった。ファミリー経営でお父さんやおばさんが番台に立つこともあったが、やっぱり実質はおじいちゃんおばあちゃんだった。ご高齢でもあって、ここらが潮どきと考えられたようだ。「春の湯6月末廃業」の報は僕の知る新潟サポの間で飛び交った。

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