どのようにしてFC東京は全国の有名スタグルを集める事が出来たのか?
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どのようにしてFC東京は全国の有名スタグルを集める事が出来たのか?【ご当地スタジアムグルメ in 青赤パーク】(J論プレミアム)
味の素スタジアム南側広場「青赤パークsupported by XFLAG」ではFC東京のJ1ホームゲーム開催時、サッカーに関するアトラクションやフード販売を実施している。チケットの有無に関係なく入場できるということもあり人気を博しているが、8月3日のJ1第21節「FC東京vs.セレッソ大阪」では、なんとJ2、J3の各クラブ主催ホームゲームにスタジアムグルメを出店している13店舗を招き、一大フードフェスティバルと見紛う『ご当地スタジアムグルメ in 青赤パーク』を開催した。企画の意図、そして参加したお店のナマの声を訊くべく、炎天下の味スタを取材した。
▼全国のスタジアムグルメが大集合
「とにかく電話をかけまくった」と、FC東京イベント・プロモーション部の田中佑治さん。今回招聘した店舗を含め20店舗以上と交渉し、スケジュール等の問題がなく参加できるという返答をもらった全国の13店舗を、8月3日の味の素スタジアムに集めた。
「8月3日に出店可能なお店をお呼びしています」
岐阜の「ひだコロッケ本舗」と「飛騨牛のこもり」のように、ふだん出店しているホームチームがその週アウェーに臨むケースでは日程的な障害がない。また、『レイソルカリー』を出品している「日立台カリーぶ」は翌4日に三協フロンテア柏スタジアムで開催されるJ2第26節「柏レイソルvs鹿児島ユナイテッドFC」を控えていたが、東京都調布市との距離が近く当日中の往来が可能なことから快諾した。
もちろん、企画上の狙いもある。山形からは『炎のカリーパン』の「明友」とともに『いも煮』と『米沢牛串焼き』の「COCO夢や」が参加しているが、米沢牛、常陸牛、飛騨牛など著名な国産牛の串焼きを同時に複数出店できたら――というのが当初の構想だった。
「”利き串”ではありませんけれども、お客さんに牛串焼きの食べ比べをしていただけたらいいなという想いがありました。今回は快く二店舗にご参加いただき嬉しかったです」
通常のリーグ戦で、複数の地域とクラブを横断してスタジアムグルメ店を招き、フードフェスティバル形式のイベントを開催する例は珍しい。このイベントを思い立ったのには理由があった。
「4月14日の鹿島アントラーズ戦(J1第7節)でもつ煮の鹿島食肉組合さんに出店していただき、非常に多くのお客さんにご購入いただきました。しかし好評だったがゆえに3時間くらいで売り切れてしまい、もつ煮を楽しみにしていたお客さんのすべてにご提供することができませんでした。もしそういったお店が多く出店できれば、少なくともお目当てのうちいくつかは堪能できるのではないか――と部署内で話が持ち上がりまして、ならば全部をスタジアムグルメで埋め尽くしてしまおうと、今回フードフェスティバルのかたちで実現することになりました」
この種のイベントで早々に食べ物が売り切れると、来場者にフラストレーションがたまる。その事態を避け、スタジアムグルメを堪能してもらいたいという願いが出発点だったのだ。
結果として、たとえば駒沢公園における「東京ラーメンショー2019」「駒沢オクトーバーフェスト2019」といった類のイベントにも似た光景が味スタに出現することになった。
旧縁が結んだ関係もある。FC東京広報担当の家木大輔さんは現役時代、カマタマーレ讃岐で選手会長を務めるゴールキーパーだった。引退後はビジネススタッフとしても勤務し、いまなお家木さんを記憶するファンは多いという。その彼が直接『カマコロ』の「コロ家」に連絡をとり、今回の『ご当地スタジアムグルメ in 青赤パーク』への参加にこぎつけた。
家木さんはこの経緯を次のように語った。
「この企画案が部署内のミーティングで挙がった時、真っ先に頭に浮かんだのは『普段食べられないスタジアムグルメの店舗を呼びたい』ということでした。そして、カマタマーレ讃岐時代にお仕事をご一緒していたコロ家さんに声をかけたんです。相談のつもりで電話を掛けたのですが、その電話で『行きます!』とお返事をいただいたので嬉しかったです」
このようにJリーグ全体を見渡したスタッフの想いが結集して実現した催しだが、田中さんはまだまだ向上の必要があると感じている。
「準備、仕込みがベストだったとは言い切れないと思っています。通常のスタジアム観戦に加えてフードフェスティバルも開催している、それを新しい価値として新しいお客様に来ていただき、かつ従来からのお客様の満足度を上げるような施策にしていきたいというのが出発点ですので、ぜひ今後も『ご当地スタジアムグルメ in 青赤パーク』を充実させていきたいと思っています」
FC東京がFC東京のことだけをやっていればいいわけではないという認識があると田中さんは言う。
「いっしょにタッグを組む相手が多ければ多いほど、周りを巻き込む力は強くなります。FC東京ではなくともよいのですが、サッカーに興味を持っていただき、他のクラブチームではこうだよというものを楽しんでいただけるきっかけにして、それを契機にもっとJリーグが盛り上がればと思います」
『青赤横丁』が『青赤パーク』に生まれ変わるなど、業務提携によりXFLAG(ミクシィ)の力も得てクラブ運営の改革が進んでいるFC東京。Jリーグを盛り上げ各クラブとともに成長していこうとする姿勢はXFLAGの文化である”わいわい”精神の反映でもあるだろう。仲間とともに強くなろうとする過程は『モンスターストライク』のごとし。次にどんなイベントが企画されるのか、今後もFC東京の仕掛けに期待したい。
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