J論 by タグマ!

勝利至上主義者の手によりフットサルに絶望した「いぬゆな」が個サルを体験してみたらこうなった

こんにちは。インターネットフーリガン、いぬゆなです。

先日、『完全未経験者が初めてフットサルに参加したらオラオラな経験者と同じチームになってものすごくつらかったんじゃ??』というツイート&ブログを書きました。たくさんのリアクションをいただいたんですが、「フットサルではあるある」(だから不運だけどしょうがない)という内容がものすごく多かったんですね。

普通、このくらい拡散されると良くも悪くも賛否両論になるもの。例えば「呼吸しないと苦しいよね」という当たり前すぎるツイートに対してだって「いやそれは我慢が足りない」とか、「水を飲めない方が苦しい」みたいな、そんな話してねーよって感じのいわゆるクソリプ的なものが一定の割合で付くんです。

今回のように「あるある」ほぼ一色で染まるのはものすごく珍しいなーと思っていたところ、J論編集Mさんより『フットサルの体験取材やりましょう!いぬゆなさんのような人を待ってたんです!レポートできて、トラウマ持ってる初心者!できるだけ知識入れずにこれからすぐ行ってきてください!』とお申し付けいただきまして、はじめての個サル(個人参加フットサル)体験記事を書かせていただきます。悪魔かこの人は。俺にもっと優しくしろ。

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秋葉原のルノワールで打ち合わせした数時間後、僕は地元千葉の某フットサル場に降り立っていました。『シューズとかは上野で買うと安いですよ!怪我しないようにすね当ても用意しましょう!』とめちゃくちゃ楽しそうでした編集Mさん。こっちはほんとトラウマなんやぞ。

さて、当方のスペックを確認しておきましょう。

・中肉中背の30代男性
・運動経験一切なし
・サッカーも当然経験なし
・観る方は10年弱やってる(ジェフユナイテッド市原・千葉サポーター)
・数メートル走るだけで息切れするほど体力がないわけでもない
・かといって何キロも走れるほど体力があるわけでもない
・一言で言えば”運動不足気味の中年男性”

てな感じです。とりあえず他の参加者の方々に迷惑かけないように頑張ります。

それでは、初個サルで感じたことを時系列順に並べていきましょう。

1.場所がわからない

某スーパー的建物は入り組んでおり、屋上にあるフットサルコートにたどり着くまでがまず一苦労。そして受付はそこにはなく、1つ下の階に戻る……自分の確認不足が原因ですが、ホームページにもうちょっとわかりやすく書いといてくれれば。
編集Mさん曰くこれもあるあるらしく、『人がたくさん出入りすることを考慮していないビルの屋上に無理やりコートを作ることが多いので』とのこと。

2.システムがわからない

受付で参加費を払うと、着替えてコートに向かうよう言われます。しかし自分の参加するAコートがどちらだかわからない。よ?く目を凝らすとコートの端に小さな札が……もうちょっとわかりやすくして……

ようやくコートに入ると、参加者はすでに揃っていました。どうやら2人グループが3組と、1人参加の方。そして自分とスタッフさん……え?9人しかいませんぞ???フットサルって5対5の10人でやるもんだって聞きましたぞ???予約サイトでは現在12人参加って書いてあったから休憩の時間もとれるなって思ってたのに。全く休めず倒れる未来が見えました。レベル1の僕から見たらみんなレベル50くらいに見えます。実際にはレベル10?30くらいの人たちなんでしょうけど、こっちはついていくのに必死で誰が上手いかなんて全然わかりません。

そんな自分の絶望には誰も気づかず、そして自己紹介等は一切なく、スタッフさんの『とりあえず3対3でコーン当てやりましょう!』という元気な声。あ、聞いてた通り「エンジョイクラス」(フットサルをエンジョイする心さえあれば参加可能)ってレベルの確認とかないんですね。そんでコーン当てって何ですか?他の参加者さんたちは個サル何度もやってるみたいで、この場でわかってないのは僕だけのようですが、ルールはわからないと困るのでしっかり聞きます。どうやらハーフコートの両端にコーンを立てて、ボールを当てたら勝ち残りというウォーミングアップのようです。素早く理解しました。当方、理解力には定評があります。

3.何をすればいいかわからない

さて、ようやくフットサルが始まりました。何度も申しておりますように、僕は完全な初心者です。それなりにやってそうな人たちの中に放り込まれても何もできません。しかし、3対3なので自分が棒立ちだとウォーミングアップさえ成立しません。とりあえず走ってパスコースだけは作ります。

あ、ここまで『フットサルどころか運動もしたことないっす!よろっす!』と宣言するタイミングは一切ありませんでした。編集Mさんのアドバイスにより「それなりに蹴れそうな人」っぽい見た目になってしまっているため、他の参加者さんからすれば『なんかこの人1人だけおかしくねえか……?』というのがだんだんわかってくる感覚だったのでは。そういやすね当て付けてるのなんか俺だけだったぞ。

ウォーミングアップを終え(ボコボコに負けまくりました)、人数が足りないので4対4を延々続けることに。ボールに触ってもコントロールできずロストするだけなので、最終ラインをコントロールする仕事に徹する僕。ゴレイロ(ゴールキーパー)はいませんので、ハイライン・ハイプレスなんてご法度です。そしてだんだん来なくなるパス。僕以外の3人で攻めて、自分は後ろでこぼれ球拾うか、カウンター食らいそうなとき全力で戻って、守備の仕方も知らないからとにかくスペースだけ埋めて……走り回って酸欠気味になる頭で、俺何やってんだろう?って思いました。少なくともこの瞬間は僕一人だけが全くエンジョイできてません。

4.他の参加者との距離感がわからない

開始から1時間が経ち、スタッフさん中心に『ナイスパス!』『ドンマイ!』などの声が少しずつ大きくなってきましたが、僕の心臓はキュッと縮んで小さくなるばかり。今すぐボールの扱いが上手くなるなんてありえないし、まだ残り1時間あるわけだから頑張って走るにも限界があります。

そこで脳のスイッチを切り替えました。『俺は他の参加者とは違うゲームをしている……!』攻撃にほぼ参加しないということは体力も温存できます。しっかり状況を見て、ボールを獲られた瞬間から守備に行く。運良くボールを奪えたら、素早く味方の前にスルーパス。(精度は超低いけどたまにいい感じに通る)10年におよぶJ2リーグ観戦で鍛えた大局観を活かし、今の自分にできることと照らし合わせた結果がこのプレースタイルでした。

不思議なもので、無理に前に出ていくより3人で攻めてもらった方が点も入るし勝てるようになってくるのです。

ただ、他の参加者の方々が僕に対して『守備頑張ってくれてありがとう』と思っているのか、『ミスなんて気にせず一緒に攻めよう』と思っているのか、『ヘタクソが参加してくるなよ』と思っているのかはわかりません。こちらから指示を仰ぐような雰囲気では全くありませんし、向こうも「装備は一通り揃えてるけど全くの初心者……?なの?」という感じでボールを持ったときのプレッシャーは明らかに弱めてくれているものの、僕という異分子の扱いに苦慮している様子が感じられました。

全く知らない者同士が集まってるんだから、どういう距離感で接すればいいか難しいのって当然ですよね?『一緒にボール蹴ればすぐ仲良くなれる!』そんなキャプテン翼的な世界観に生きていたかった……

5.靴の選び方がわからない

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フットサルを終えると、僕の両足の親指は真っ黒になってました。終盤スプリントしようとすると痛すぎてジョギングになっちゃってたんですが、明らかに靴のせい。この日の昼、上野のスポーツショップで試着して大丈夫そうだと思ったんですが、足先の余裕が足りなかったみたいです……店員さんに『今からフットサルするんです』って伝えたんだけど、やったことない身からしたら足のどの部分にどのくらい余裕あればいいかもわからんもんですね……

6.何もわからないまま2時間が過ぎる

ということで、全くの運動未経験者が個サルに参加してきました。何もわからなさすぎて笑えるレベルでしたが、これでもそれなりにフットサル・個サルについては調べたんですよ。Jリーグ観てるから基本的なルールとかはわかるし、「初個サルはこういうところに気をつけろ!」的な記事はいくつも読みました。それでも全然わかんない。

まずは初心者用クリニックみたいなところに参加していくのがおそらく王道だと思うんですけど、それを強く勧める導線ってあんまりないんですよね。とりあえず今夜運動したいな、くらいのニーズに応えてくれる敷居の低いスポーツだってイメージがフットサルにはあったんだけど、実はそうではなかったみたいで。

でも何だかんだ楽しかったですよ。2時間で1000円とか1500円とか払う価値は十分あります。運動するためにただ走るだけより、ゴールに向かう、ゴールを守るって目的のために走るのは面白いし、キックインのときとかたまにボール触れるし、最後はみんな体力尽きてたので攻撃参加して2回シュート打たせてもらえたし。もちろんまともに飛ばず止められましたけど。「フットサルの真の楽しさ」的なものの一端は垣間見えました。

残り30分の休憩で、スタッフさんに『昔どこかで蹴ってたんですか?』って聞かれたとき、全くの初心者が今日参加するって想定はないんだなーと思ってビックリしたんですが、一人だけすね当て付けてるしすげえブランクある人だと思われても仕方ないか。あ、あと終わったあとみんなで記念撮影するものだと思ってたけどしなかった。みんなツイッターとかに写真あげてるじゃないですか。『2ヶ月ぶりに蹴ってきた~動けなくなってるからまたちょくちょくやらなきゃだめだな~』的なコメントを添えて。記念撮影強制だと思ってたの俺だけか。

おわりに

『フットサル二度とやりたくない』と本気で思ってましたが、今は『自分に合ってる場所があればやりたい』くらいにはなりました。ファーストコンタクトが不幸だっただけなんですよね。

Jリーグ観る上でも、ある程度自分でボール蹴れた方が楽しんで観戦できる気がしました。よくスタンドにいる俺はわかってるムード満点で上から目線の謎指示おじさんにはなりたくないものですが。この記事がそれなりに好評ならフットサル体験取材第2弾もあるでしょう。僕がフットサル初心者を脱せられるかはみなさん(と編集Mさん)次第です!