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#ラインメール青森 が #天皇杯 で #ジェフ千葉 と戦う 【ラインメール青森FC通信】勝つにはまだ早すぎたのか?

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2018年6月6日 水曜日、天皇杯2回戦 JFA 第98回全日本サッカー選手権大会、ジェフ千葉対ラインメール青森の試合がフクダ電子アリーナでおこなわれた。

試合が終わり監督会見に出席して選手へのインタビューをすませた。

駅まで向かおうとして、関係者入り口から出た時だった。

誰もいないスタジアムから美しい光が射している。

カメラを構えてスタジアム全体を写し出す。

光を吸収した綺麗な芝生が作り出す光景は、ラインメール青森にとって、今日の敗戦があまりにも美しいものだったことを物語っているように、その光は僕の記憶の中に今日の出来事を包み混んでいった。

無人のスタジアム。ピッチにもスタンドにも誰もいない。

この日の試合のため、雨中の平日だというのに2064人の観客がスタジアムにつめかけた。

その中の30人にもみたない人々が青森のゴール裏に陣取る。

スタジアムで繰り広げられた数時間は、僕の気持ちの行き来を激しく揺さぶった。

「もしかしたらこのままいくのか」。

「このままでは終わらないだろう」。

そうした思いが、行ったり来たりの繰り返しだった。

ラインメール青森の選手とスタッフに「ありがとう」という感謝の気持ち。

そして、「勝てた試合だった」という悔しい気持ちも交差する。

あれは3年前の出来事だった。

この日よりも激しい雨の中の試合であった。

2015年8月29日、青森は水戸ホーリーホックと天皇杯1回戦の試合のためにケーズデンキスタジアムに乗り込んだ。前半は2-1で青森がリードする。しかし後半になって3点を奪われて逆転負けをきっしてしまう。勝負に破れた当時の監督だった葛野昌宏は、「ちくしょう!」と言ってロッカールームに引き揚げて来た。

あの試合に出場した選手で、この日の千葉戦に名前を連ねたのは奥山泰裕だだ1人である。そして青森も、東北社会人リーグのカテゴリーに所属していた。今の青森は、JFLに加入している。

戦い方もあの時とは、まったく違ったスタイルになった。ロングボールを前線に蹴り込むサッカーから、ボールを回しながら攻撃して行くサッカーへと変貌する。ハイラインを敷く千葉への対策として、SBの裏へロングボールを蹴り込んで、FWの多木理音をそこに走らせる。長短のボールを織り交ぜた攻撃だった。

3年前のあの時とは、確実に何かが変わっていた。

試合開始3分になって青森は中盤でボールを奪うとすばやくカウンターを仕掛ける。FWの太田徹郎がGKと1対1になって、落ち着いてゴールネットを揺らした。前半は、このまま1-0で青森がリードする。後半になり途中から試合に入ったFWの指宿洋史が、青森がクリアしたこぼれ球をゴールに押し込んだ。

千葉の逆転弾は、セットプレーからこぼれ球をMFの清武功暉にシュートされる。この得点は、延長戦の前半だった。逆転したジェフ側は、「これで勝負が決まったな」と思ったサポーターが多くいたのかもしれない。しかし、ドラマは延長戦後半に待っていた。ヘディングシュートがポストを叩いてボールが跳ね返る。クリアしようとした千葉のGK佐藤優也の手がボールに届かずに、延長から出場したFW浜田幸織がこぼれ球をゴールする。2-2の同点になって延長戦が終了する。そして、運命のPK戦へと突入するのだった。

試合の詳細は以下。

http://www.jfa.jp/match/emperorscup_2018/match_page/m32.html

僕がラインメール青森を取材するきっかけになったのは、東北社会人リーグにいた時の青森が、天皇杯1回戦で水戸と戦う試合からだった。

あれから監督も選手も戦い方も大きく変わった。

河端和哉は引退して札幌大学蹴球部の監督になった。

村瀬勇太は奈良クラブに移籍して行った。

一つのクラブが力をつけていくには、人の行き来は重要なことだ。

後ろを振り向かずに前に進むためには「きっとこの日の敗戦も必要なことだったんだ」と。

そういつか言える日がやってくることを、僕は願ってやまない。

川本梅花

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