原口元気を継ぐ男。浦和レッズ、両足使いのスピードドリブラー、その名は関根貴大

週替わりのテーマを決めて日本サッカーについて語り合う『J論』。今回は4大会ぶりの世界切符を狙うU-19日本代表の若きサムライたちを取り上げる。Jリーグで育った彼らの戦いは、そのまま日本サッカーの未来を占う場ともなるだろう。第2回は選手層の厚い浦和レッズの中でルーキーながら活躍を続ける関根貴大。最大の武器であるドリブルの秘密についてミスター観戦力・清水英斗が迫る。



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<写真>関根貴大、そのドリブルで突き進む。 (C)川端暁彦



▼記憶に刻まれた、その名前
 2009年、浦和レッズユース出身の原口元気がトップチームで活躍し始めた頃、メディアはすでに彼が「浦和ユースの最高傑作」であるかのように扱った。だが、実はその一方で、チーム関係者からは「中学生(ジュニアユース)にもっといいのがいるよ」との声も聞かれていた。

 それから月日が流れた2014年。浦和のトップチームへと昇格していた「もっといいの」は、無観客試合となった清水エスパルス戦でリーグ戦デビューを飾る。右サイドからのドリブル突破で「先輩」原口の同点ゴールを導くと、5月17日のセレッソ大阪戦では柏木陽介とのワンツー突破から左足のシュートを決め、J1初ゴールを記録してみせた。

 167cmと小柄なスピードドリブラーは、少なくとも埼玉スタジアムの観客にはその名前「関根貴大」を深く刻み込んだ。今では彼がボールを持つたびに、スタジアムは期待感で一杯になるほどだ。

▼同じドリブラーでも、まるで違う個性
 原口と関根――。

 いずれこの二人は「どちらが真のレッズユース最高傑作なのか?」という、ぜいたくな議論の的になるかもしれない。ヘルタ・ベルリンへの移籍が決まった原口に、埼玉スタジアムで行われたセレモニーで花束を渡したのは、19歳の関根だった。どうやらその日の朝、ピッチで何の気なしにボールに空気を入れていた関根をスタッフが捕まえ、突然指名したらしい。

「(花束を渡すのは)誰かなと思ったときに、タカ(関根)もあるかなと思っていたから、そんなに驚きではなかった」と原口は語る。関根本人も、来シーズンは原口が長らくつけていた背番号『24』を希望するなど、まんざらでもない。

 ただ、二人共にドリブラーだが、そのスタイルは異なる。

 原口は自分の型をハッキリと持つタイプ。右アウトサイドで、いつも同じ場所にボールを置き、ドリブルで仕掛けていく。そこからの変化パターンは、クロスや左足のシュートなど経験と共に増えつつあるが、基本的な仕掛けは変わっていない。ロッベンにしろ、メッシにしろ、ワールドクラスのドリブラーは原口と同じように、自分の型をハッキリと持って仕掛けるタイプが圧倒的に多い。

 対して関根の場合、型と言える型が存在しない。それが最大の特徴とも言える。

 たとえば相手から遠い位置にボールを置き、左足でボールを運んでいるかと思えば、次のタッチでは右足に移動させて相手の前にさらす。関根のドリブルは、右アウト、左アウト、足のあらゆる位置をランダムに使いながら進んで行くため、相手が「カットできるかな?」と思っても、次のタッチでボールは予想しない場所に揺れ動く。ディフェンスにとっては相当やりづらいはずだ。

 普通の感覚で言えば、そうやってボールを置く位置が安定しないのは、「下手クソ」の特徴でもある。しかし、関根は違う。ランダムな両足ドリブルだが、実はそのすべてをコントロール下に置いている。まさに「下手クソと天才は紙一重」だ。

 関根の両足は、常に軸足であり、常に蹴り足である。基本的にドリブラーは自分の利き足の感覚に頼ってプレーする選手が多いので、関根のようなドリブルの両利きタイプは世界的に見ても珍しい。

 C大阪戦で決めた前述のJ1初ゴールでは、最後に右足で切り返した後、間髪入れずに左足のシュートをGKの虚を突くタイミングで打ったことがゴールにつながった。このような変幻自在で予測しづらいリズムを備えているのが、両足スピードドリブラー、関根の大きなストロングポイントだ。

▼そのドリブルをアジアに示せ!
 その関根は今回、U-19日本代表の一員としてミャンマーへと乗り込んでいる。

 彼のようなタイプのドリブラーが、同世代の海外の選手にどのような威力を発揮するのかは、個人的にも興味深いところだ。「守備が課題」と言われることが多い関根だが、そんなことより何よりも、そのドリブルの切れ味をアジアの舞台で見せ付けてやってもらいたい。


清水 英斗(しみず・ひでと)

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。著書に『日本代表をディープに観戦する25のキーワード』『DF&GK練習メニュー100』(共に池田書店)、『あなたのサッカー観戦力がグンと高まる本』(東邦出版)など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

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